平成26年度補正予算で設けられた「地域工場・中小企業の省エネルギー設備導入補助金」は、同じく事業者向けの補助金制度である「エネルギー使用合理化補助金」と比較して条件が緩く、また申請手続きも行いやすいことから応募が殺到しました。
そのため、A類型と呼ばれる最新モデル省エネルギー機器等導入支援事業については早々に予算額を超過し、応募締め切りが平成27年12月11日であったものの、同年4月22日受付分で終了しました。同年3月16日に申請受付がスタートしていますので、わずか1ヶ月強の期間で終わったことになります。
同補助金制度の今後の見通しは2017年6月時点では未定ですが、省エネ社会や経済活性化をねらう近年の国の方針から考えると、同様の補助金制度が施行される可能性があります。
そこで、今後の公募にスムーズに対応するためにも、平成26年度の申請方法について今一度まとめて確認してみたいと思います。
さらに、2017年の補助金についても一緒に紹介をしたいと思います。これから補助金申請を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
A類型の申請に採択されるには、以下の条件満たす必要があります。
・導入機器が最新モデルであること。
・旧モデルよりも年平均1%以上の省エネ性能が向上できること。
・SII(一般財団法人環境共創イニシアチブ)が定める補助対象カテゴリー表(以下のリンク参照)にある機器であること。
https://sii.or.jp/category_a_26r/file/taishou_category.pdf
以上の要件を満たす証明として、SIIが定めた証明書発行団体から「性能証明書」の発行を受けていることが求められます。なお、同一事業所において、後に述べるB類型を合わせて申請することは不可となっています。
条件を満たした上で、以下の期間内に申請する必要がありました。
平成27年3月16日(月)~ 平成27年12月11日(金)16時(必着)
しかし、実際には早期に予算額を超えたため、補助金の申請受付は4月22日受付分で終了しています。
申請手続きは、上記期間内に次の流れに沿って行います。
申請の流れは大きく分けて、1.性能証明書取得、2.補助金申請、3.機器の導入、4.補助金交付の4段階に分けることが出来ます。以下に具体的な流れを示します。([ ]内はアクションを行う側です。なお、[申請者]とは補助金を申請し交付を受ける事業者です)
1-1.[申請者]メーカー等に性能証明書発行を依頼
1-2.[メーカー等]証明書発行団体に性能証明書発行申請を依頼
1-3.[メーカー等]証明書発行団体から発行された性能証明書を申請者に転送
2-1.[申請者]SIIへ補助金を申請
2-1.[SII]審査、決定
3-1.[申請者]メーカー等に機器を発注
3-2.[メーカー等]機器を導入、設置
4-1.[申請者]SIIへ完了報告を提出
4-2.[SII]申請者へ補助金交付
B類型の申請には、以下の条件が求められます。
既存の設備を省エネ設備に置き換えること、あるいは、製造プロセスの改善によって省エネ効果が見込めることが求められます。また、「生産性向上設備投資促進税制」を利用する場合は申請不可となっております。
上記条件を満たした上で、次の申請期間に申請を行います。
平成27年3月16日(月)~ 平成27年4月15日(水)※17:00(必着)
この期間内に、次の流れで申請を行います。
「H26年度エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」に類似しており、具体的には以下の流れになります。
1.[申請者]SIIへ補助金を申請
2.[SII]審査、決定
3.[申請者]事業開始〜事業完了
4.[申請者]1ヶ月程の省エネ実績データをまとめ、SIIへ実施報告
5.[SII]確定検査
6.[SII]補助金交付
7.[申請者]設備後一年間の省エネ実績データをまとめ、SIIへ実施報告
上記流れのうち、事業開始はSIIによる交付決定日であり、事業完了は支払い完了日と定められています。また、省エネ原油換算量kl等が、申請時の省エネルギー量を達成することが求められます。成果報告後は、設備の耐用年数まで事業を継続します。
2019年度の省エネルギー投資促進に向けた支援補助金の予算として、国は672.6億円を計上しています。
この制度の目的は、工場、事業場、住宅などにおける省エネ関連投資を促進することで、エネルギー消費効率の改善を促し、徹底した省エネを推進することにあります。
工場、事業場における、省エネ効果の高い設備の入れ替えの支援です。2017年は新たにエネルギー単位改善に資する取り組みや、省エネ効果が高い設備単体の更新を支援するとともに、複数事業者間でのエネルギー使用量の削減の取り組みを重点的に支援することとなっています。
ZEHの価格低減・普及加速化のため、ZEHの普及目標を掲げたハウスメーカー等(ZEHビルダー)が設計・建築・改築するZEHの導入を支援します。
ZEBの実現・普及のためのガイドライン作成等を目的に、ZEBの構成
要素となる高性能建材・設備機器等を用いた実証を支援します。
高性能建材の価格低減・普及加速化のため、既築住宅の省エネ化
に資する高性能建材を用いた住宅の断熱改修を支援します。
2017年は、他にも補助金がありますのでご紹介します。
業務用施設等における省CO2促進事業は、2030年のCO2削減目標を達成するため、業務その他部門において4割の削減を目指して運用されています。そのためには、業務用ビル等の大幅な低炭素化が必要であり、テナントビル、福祉施設、駅舎、漁港などの業務用施設の省エネを促進していく必要があります。並行して、先進的な業務用ビルの実現と拡大もしていかなければいけません。
具体的な対策としては、中小規模業務用ビル等に対しZEBの実現に資する省エネ・省CO2性の高いシステムや高性能設備機器等を導入する費用を支援します。なお、CLT等の新たな木質部材を用いているZEBについては優先採択枠を設けます。実際に、50億の予算をとり、テナントビルを所有する法人、地方公共団体にZEB実現に寄与する空調、照明、給油、BEMSの導入費用を補助します。上限は2,000万円です。
他にも、環境負荷を低減する取組について、オーナーとテナントの協働を契約や覚書等(グリーンリース契約等)を締結することにより、省CO2を図る事業を支援します。また、既存の業務用施設(福祉施設、駅舎、地方公共団体の所有施設、漁港施設等)において、大規模な改修を除く省CO2性の高い機器等の導入、リース手法を用いた地方公共団体施設の一括省CO2改修(バルクリース)も対象となります。
天然ガスは化石燃料の中で燃焼時の単位あたりのCO2排出量が最も低く、窒素酸化物の排出量も少ないという優れた環境特性を持っており、天然ガス利用設備の普及を促進し、天然ガスシフトを着実に進めていくことが重要です。
また、災害時の強靱性の向上の観点から、耐震性の高い中圧ガス導管等から供給を受ける施設に、災害時にも対応可能なガス利用設備を普及させることが重要です。この事業では、災害時にも対応可能な天然ガス利用設備の導入及び機能維持・強化を行う事業者に対し補助することで、天然ガスシフトの促進及び災害時の強靭性の向上を図ることを目的にしています。8億円の予算を計上しています。
現在、冷凍空調機器の冷媒としては、主に温室効果の高いHCFCやHFCが使用されており、機器の使用時・廃棄時の排出量削減が必要です。また、HCFは2020年に製造が全廃される予定であり、HCFCを冷媒として利用している機器の早期の転換が必要です。このため、省エネ性能の高い自然冷媒を用いた機器を普及させることで、冷凍空調業界の低炭素化、脱フロン化を目指しています。
対策として、62億円の予算をつけ、フロン類の重点量が多い中大型機器を保有する冷凍冷蔵倉庫への機器導入に対して、補助金を交付していきます。
最終的には、省エネに取り組む事業者への積極的な支援により、HCFCが7割残るといわれる冷凍冷蔵業界への機器の転換を促し、5割以下を目指します。そして、自然冷媒機器の普及が図られることで、大量生産位夜機器価格の値下げが期待され、将来的により多くの企業が導入に踏み切れるでしょう。
本記事では、平成26年度版の「地域工場・中小企業の省エネルギー設備導入補助金」を申請する手続き概要をご紹介しました。法人向けの大型補助金制度である「エネルギー使用合理化補助金」と比較して、申請要件や手続きの難易度が緩くなっています。
それでも、申請のためにはある程度の準備が必要で、いち早く申請手続きをするためには、申請の条件や流れを抑えておくことが大切です。
近年の日本では、省エネ社会と経済活性化を推し進めることが重要な課題となっており、地域工場や中小企業を支援する同様の制度はこれからも制定されるでしょう。2030年のCO2削減目標に向けて、補助金が徐々にでてきています。2017年にも省エネに関する様々な補助金が出てきていますので、参考にしてみてください。
(参考)
・「最新モデル省エネルギー機器等導入支援事業」公募要領
https://sii.or.jp/category_a_26r/file/kouboyouryou_a.pdf・「地域工場・オフィス・店舗等省エネルギー促進事業」公募説明会資料
https://sii.or.jp/category_b_26r/file/briefing_slide_b.pdf・改正省エネ法対策相談室
http://www.teitannso.jp/category/1393958.html
2017/06/10