スマートハウスの優れた特徴は、HEMS(※)や様々な省電力機器の活用で、節電・節約効果が得られることです。
省電力機器には、冷蔵庫、洗濯機、テレビといったおなじみの家電が挙げられますが、その中でも特に注目したい機器が、LED照明です。LED照明は従来の蛍光灯や白熱電球とは異なる特徴を持つ照明器具であり、家庭の電気代節約にも多いに貢献してくれます。
本記事では、スマートハウスの省電力に不可欠な機器である、LED照明の特徴をご紹介します。
(※)HEMS=家庭用エネルギー管理システム
LED照明という用語は近年では馴染み深くなってきたと思いますが、LED照明とはどのような照明なのか、その詳細を今一度確認してみましょう。
LEDとは、Light Emitting Diodeの略称であり、日本語では発光ダイオードと訳されます。
発光ダイオードとは電気を光に変換してくれるチップであり、光の三原色である赤、緑、青を発光させることができます。光の三原色を発光させることができますので、発光色の組み合わせで様々な色を生み出すことができます。
LEDは様々な色が出せるため、液晶テレビやスマートフォンのディスプレイにも活用されています。そして、LEDの光を活用した照明器具が、LED照明になります。最近では、信号に使われています。以前は一つひとつの信号に厚みがありましたが、今ではかなり薄くなりました。
そもそもライトの種類がどの程度あるかご存知でしょうか?LEDはここ数年で伸びてきましたが、それまでは他の電球が大半を占めていました。ここでは、電球の種類とLEDの立ち位置をご紹介します。
蛍光灯、または蛍光管は、ガスを蛍光管の中にため、アーク放電によって光を作り出しています。オフィスやコンビニなどによく使われており、値段が安くどこでも重宝されています。365度光ることもあり、光量が強く、明るさが必要な場所ではLEDよりも使われることがあります。ただ、消費電力がLEDよりもかかるため電気代はかさみます。
最近では、HF菅と呼ばれる蛍光灯に置き換わるものが出てきています。効率がよくランニングコストを蛍光灯よりも抑えることができ、光量も強いのが特長です。ただ、費用が蛍光灯よりもかかるのがネッックですが、LEDよりは安い価格で購入できます。そのため、いきなりLEDにするのではなく、LEDの価格が落ちるまでHF菅を使っている会社もあります。
どこにでもある電球です。トイレや玄関など家の中でよく使われています。蛍光灯ほど、光量がいらず場所も狭い場合はうってつけです。ネックになるのが、1000時間ほどと言われている寿命です。
このタイプの電球は、天井など高いところで使われることもあり、あまりにも高いと業者を呼ばなければいけない場合もあります。寿命が1000時間ということは、1日ずっとつけっぱなしにしていると、41日で切れてしまう計算です。値段は安いのですが、このように交換の手間がかかることを覚えておきましょう。
LED照明の特徴は様々ですが、特筆すべきメリットは省電力性と寿命です。従来使用されてきた蛍光灯や白熱電球よりも、LED照明は少ない電力で部屋を明るくし、そして長期間にわたり交換する必要もありません。
住宅用照明を仮定したランニングコスト(年間2000時間、10年間、27円/kwh)で比較すると、例えば白熱電球ダウンライトを10年間使用した場合は29,160円と試算されます。一方、LED照明を10年間使用した場合は2,920円です。白熱電球と比較すれば、電気代が約1/10に縮小されることになります。
また、10年間で白熱電球は9回の交換が発生し、交換費用として3,300円かかりますが、LEDは10年間交換する必要がなく、したがってその間のLED照明交換費用は0円です。
LED照明によって電気代を大幅に節約できることが、この試算から分かります。
LED照明の寿命は約40,000時間と言われています。製品や使用状況によって異なりますが、一般に、白熱電球の寿命は1,000~2,000時間、蛍光灯が6,000~12,000時間と言われていますので、LED照明の寿命がいかに優れているかが分かります。
手が届かない場所で長時間電球を使うことがあれば、LEDが適しています。電球は毎日使ったら1ヶ月〜2ヶ月で切れてしまいます。この場合、取り替えの手間が発生するため、人件費のことを考えるとLEDのほうがトータルで安い可能性があります。また、オフィスで蛍光灯を千本以上使っている会社も多いと思います。その場合も、何度もなんどもかえる必要がないため、無駄な作業を減らすことができます。
他には、24時間営業で蛍光灯を使い倒しているコンビニは、LEDが適しています。通常の蛍光灯では、ほとんど寿命が持たず頻繁に変える必要があります。これを手間と思う人は、LEDがおすすめです。
その他、少ない放熱量のため空調に悪影響が及ばないことや、水銀を使用せず環境を損ねないポリカーボネイトで作られていることなども、LED照明のメリットとして挙げることができます。
食品工場などでは、手元にライトをおき作業をすることがありますが、蛍光灯の場合手が当たって、ライトが落ちたら割れてしまいます。食品の製造行程でそんなことがおきたら、ラインを止めなければいけません。LEDなら、ポリカーボネイトという樹脂を使うため、滅多なことがない限り割れることはありません。また、水銀が疲れていないのも工場にとっては安心できるポイントです。
(コストや寿命の数値データは、 LED照明推進協議会のウェブサイトを参考にしました)
以上のようにLED照明は省電力性や寿命に優れており、そのため省エネを目的とするスマートハウスに最適な照明器具と言えます。しかし一方で、以下のようなデメリットも挙げられます。
LED照明のランニングコストは確かに安いのですが、LED照明自体の価格は、蛍光灯や白熱電球と比較して高い傾向があります。最近では徐々に値段が下がってきたり、補助金の対象になったりしているので、ひと昔前に比べたら安価に導入できるようにはなっています。
LED照明の光は、蛍光灯や白熱電球よりも光の広がり方が狭い場合があります。LED照明を取り付けた真下へは光が十分に当てられますが、白熱電球のような全方向への光の拡散までは至らないものがあります。
その理由は、LED照明の光は直線的であることが考えられます。蛍光灯や電球の光は、ぼんやりと広がります。LEDの光は直線的なので、明暗がはっきりとしてしまいます。また、光が直線的なので、光があたって影ができたところは影が濃く出てしまいますので、手元の作業をする時は、蛍光灯の時よりも見えづらくなるかもしれません。
また、LEDは基板にLEDのチップを乗せているためどうしても、365度をカバーすることができません。そのため、蛍光灯から置き換えると、同じ本数でも少し暗く感じます。
LED照明でも種類によっては配光に優れたものがありますので、光の広がり方を期待する場合は、商品の詳細を確認することが大切です。
LED照明は蛍光灯や白熱電球よりも重量があるため、その重量に耐えうる取り付け金具が備わっていることが必要です。また、取り付け口の形状が合わない場合があるため、取り付け可能か確認することが必要です。
オフィスの電気を蛍光灯からLEDに変更する場合、工事が必要になることがほとんどです。蛍光灯には安定器と呼ばれる電流を安定させる機械が付いています。LEDは安定器が必要ないため、配線の工事を行う必要があります。配線工事には専門の資格が必要なため、工事業者にやってもらうほうがいいでしょう。
その代わり、LEDは交流を直流に変える電源が必要となります。LEDには、この電源が内蔵されているものと、外付けのものがあります。内臓のものであれば、安定器を取り除いたらそのままつけられるのですが、外付けの場合は電源を蛍光灯のカバーの中につける工事が発生します。
LEDを導入する場合には、本体が高いのはもちろんですが、工事にかかる場合の費用も考慮にいれておく必要があります。これからLEDはどんどん価格が落ちて、導入が進んでいくと思われます。これから家を建てたり、オフィスを作ったりする人はあらかじめLED仕様で考えておくと、無駄な工事が必要なくなるので効率的です。
LED照明は省電力に優れ、さらに耐久性があることから、長期間にわたってご家庭の電気代節約を助けてくれます。そのため、LED照明はスマートハウスには不可欠な設備であると言えます。
たしかに、LED照明本体自体は蛍光灯や白熱電球と比較して割高になりますが、国や自治体によるLED照明の補助金を受けることができる場合もあります。補助金制度を活用して上手にLED照明を取り入れたいところです。ランニングコストも含めてトータルな電気代を考えると、LED照明の経済性は決して悪くはないと言えるでしょう。
また、LEDの値段は徐々に落ちてきています。数年前と比べるとその差は歴然です。これから、新しくオフィスを作ることがあるのであれば、迷わずLEDにしておくほうがいいでしょう。これからLEDを導入する方は、参考にしてみてください。
(参考)
JLEDS 特定非営利活動法人 LED照明推進協議会ウェブサイト
http://www.led.or.jp/
2017/05/25