スマートビルとは、施設の運用効率を高め、生産性を向上させるための仕組みを取り入れたスマートな(賢い)ビルのことです。
これによって、省エネが期待でき光熱費を削減することができます。
スマートビルの特徴は、エネルギー管理システム(BEMS)が導入されていることです。
このBEMSによって、すべての設備の管理ができます。
スマートビル のメリットは省エネができる(1)、非常時の電力確保(2)、デマンドレスポンスに対応できる(3)ことです。
今回はスマートビルについて紹介したいと思います。
BEMSとはBuilding Energy Management Systemの略で、ビル用エネルギー管理システムといいます。
BEMSの役割は電力や水道使用量の可視化、照明や空調設備の制御です。
ビル内には、BEMSにと接続されたセンサーが取り付けてあり、そのセンサーから情報を収集し、照明や空調を調節します。
例えば、ビルの廊下にセンサーを取り付け、人が廊下を歩いているときのみ、エアコンを稼働させることです。
これによって、省エネと快適さを両立できるようになっています。
BEMSを導入したスマートビルは、導入前と比較して年間数十パーセントの電気料金を削減できます。もちろんこれは、ビルの規模や設備の規模によって異なりますが、大幅に電気料金を削減できることは間違いないと思います。
蓄電システムや太陽光発電システムを導入している場合、蓄えられている電力を停電や災害時に使用できるので、非常用電源の確保につながります。
デマンドレスポンスとは、ピーク時の電力消費量を抑える仕組みのことを言います。畜エネ設備やセンサーによる制御によって、ピーク時の電力消費量を抑制することができます。
スマートビルのデメリットは、初期費用が大きいことと知名度が低いことです。
単にBEMSを導入するだけならそれほど大きな費用はかかりません。
しかし、BEMSだけでは省エネの効果は期待できません。
省エネを実現するには、蓄電システムや太陽光発電システムを導入する必要があり、それらのシステムに莫大な費用が必要です。
また、スマートハウスに比べると、スマートビルの知名度は低いのが現状です。
スマートビルは一般消費者向けではないので、どうしても知名度は低くなります。
今回は、専修大学生田キャンパスの例を紹介します。
本学は、中央監視室に先ほど紹介したBEMSに相当するMETASYSを設置し、空調を授業時間に合わせて稼働するようにしました。
また、快適な学習環境を提供するために教室の温度設定を学生や教員が自由に変更できるようにしました。
さらに、教室の二酸化炭素が一定量を超えると自動的に換気装置が作動し、空気の入れ替えを行いう換気制御システムを採用しています。
これらによって、学生に快適な学習環境を提供でき、電力の消費量を抑えることに成功しました。
また、学内の電力消費量を70%も削減できていることからも、システムが有効性であることがわかります。
専修大学では、学内に電力消費状況を表示するモニターを設置しています。
これによって、学・教員・職員に省エネについて関心をもたせようという狙いがあります。
現在、専修大学は学外からも省エネシステムについて関心が集まっており、環境関連の賞を受賞しています。
このほかにも、空港、美術館、病院にもBEMSのようなシステムが導入され、省エネ対策に活用されています。
もちろん、しっかりと効果を発揮し電力消費量の削減につながっているようです。
ですから、今後このようなシステムが普及していくことは間違いないでしょう。
2016/02/08