水力発電の原理は、流水の力を水車に伝え、水車の回転エネルギーを電気エネルギーに変換するというシンプルなものになります。
1840年にイギリスにて水力発電は発明されたと言われています。かなり長い歴史を持っているということですね。
水の流れがあればエネルギーを得ることが出来るため活用範囲がとても広く、また、エネルギー変換効率の高さもエネルギー源として有用性が高いと言えるでしょう。
山や川の多い日本では活用しやすい発電方法のひとつであり、比較的に他の国々よりもよく利用されているようです。現在、日本の電力のおよそ10パーセントを水力発電がまかなっています。
しかし、雨量の変化など自然の状況によっては発電量に変動が起きることがあり、また発電設備を建設する場所も限られることも事実です。そのため、様々な種類の水力発電設備を設けることで、自然の状況や場所に応じた最適な発電方法が採用されています。
今回は、水力発電の様々な種類や発電方法をご紹介したいと思います。
水力発電の設備にはいくつかのタイプがあり、現在では主に以下のものが活用されています。
自流式とも言われ、川の流れの力を活用する方式です。
川から発電設備に水を誘導して電気を得ます。エネルギーを得る方法としては古来より活用されている水車と同じ仕組みになり、川の流れさえあれば安定したエネルギーを得ることが出来ます。
水を貯める必要が無いため大規模な設備を必要とせず、設備コストを抑えることが出来ます。
ただし、渇水時期には期待する発電量が得られない問題があります。
川の水を調整池に貯水することで水量を調整し、発電量をコントロールする方式です。
ある程度(1日〜1週間程)の電力量をコントロールできることから、天候や電力需要の短期の変化に対応できます。
ダムを活用し川の流れをダムによってせき止め、せき止められた水を活用する方式です。
雨量の多い時期に貯水し、水の需要が高まった際に放水します。
水の流れを完全にコントロールできることから、常時安定した発電が可能になります。
基本的に春や秋は水量が多くまた電力需要も少ないため、この時期に水を貯めておきます。そして、電力需要が多い夏と冬に貯めた水を活用して発電します。
ただし、発電設備を建設する場所が限られ、さらに大規模な設備を必要とすることから、発電設備建設には周辺住民の理解と協力が必要不可欠となります。
発電施設の上部と下部に調整用のダムを造り、夜間に水を組み上げ、昼間に水を活用する方式です。
一般に、電力消費量は夜間が少なく、昼間は多い傾向が有ります。そのため、夜間には火力発電等による電力を使用して水を上部ダムへ引き上げ、そして、電力需要の多い昼間に下部のダムへ水を落とすことで電気を生みだします。
マイクロ水力発電(小水力発電)は出力が1000kW以下の水力発電のことをいい、最近少しずつ注目され始めている、発展途上の方法です。名前の通り小型の水力発電装置であり、水が流れてさえいれば狭いところでも発電することができます。これまではその発電量と利益に対して導入コストが高かったため、あまり取り上げられることもありませんでしたが、改良が進められているようです。
設置場所は上水道施設や、製品を生産する過程で水を大量に使用する紙や鉄を加工する工場などが想定されています。
それでは、水力発電設備の構造上の違いから見てみましょう。
河川の水の流れを水路によって引き込む方式です。
発電に適した水の落差が得られる場所まで流水を誘導します。
人工的な湖に川の水をせき止め、そこからの水の落差を活用して発電します。
大規模な発電設備になり、通常は険しい山間部に建設されます。
水路式とダム式の特徴を組み合わせた発電方式です。
ダムで水を貯めておき、そこから水路を経由して落差の大きい場所へ誘導して発電を行います。
いかがでしたでしょうか?
ひとことで水力発電といっても、様々な種類の仕組みや設備の構造があることがお分かり頂けたかと思います。
このように様々な種類の方式があることで、多様な自然状況に対応して安定的に電気を得ることができます。
持続可能なエネルギー社会を目指す日本において、太陽光や風力等と同様に、水力発電も多くの世帯の生活を支えるための重要な役割を、今後も果たしていくことと思われます。
マイクロ水力発電などの開発・改良が進められている発電方法にも注目していきたいですね。
(参考)
・電気事業連合会公式ウェブサイト | 電気事業について | 発電のしくみ | 水力発電
http://www.fepc.or.jp/enterprise/hatsuden/water/index.html
・経済産業省資源エネルギー庁公式ウェブサイト「水力発電について」
http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/hydroelectric/mechanism/use/
2016/12/08