エネルギー資源の枯渇や地球温暖化の解決に繋がる再生可能エネルギー。その再生可能エネルギーの中でも、太陽光と同様に大きく期待されているのが風力発電です。
安定して強い風が吹く場所であれば、半永久的に尽きることがない風のエネルギーを電気エネルギーに変えることができ、地域のエネルギー社会を支えてくれます。
今回の記事では、風力発電の持つ様々なメリットをご紹介し、そして課題としてどのようなデメリットが残されているのかを整理してみたいと思います。
風力発電の原理は、風の力を設備のブレード(羽根)で受け、ブレードの回転によるエネルギーを電気エネルギーに変換するというものです。このようにとてもシンプルな原理による風力発電は、以下のようなメリットが挙げられます。
風が吹くことによって得られる風力という自然現象を活用するため、化石燃料のように資源が枯渇することがありません。半永久的に活用することができます。
火力発電では化石燃料を燃焼することでCO2(二酸化炭素)が発生し、地球温暖化を促進してしまいます。また、原子力発電の場合は、放射性廃棄物という毒性の強い物質を処理しなければなりません。
一方で、風力発電は、自然現象から生まれる風を扱うため、そのような有害物質を排出することはなく、クリーンなエネルギーを生み出すことができます。
同じ再生可能エネルギーである太陽光の場合、太陽の光を電気エネルギーに変換するという原理から、太陽の出ていない夜間には電気を生み出すことができません。
一方で風力発電の場合は、夜間でも日射が少ない時でも、風さえ吹けば電気を生み出すことができます。
風力発電の発電効率はおおよそ40%と言われており、それは、風が持つエネルギーの40%近くを電気変換できるということを意味します。この変換効率は他の再生可能エネルギーによる発電と比較して高いと言えます。
北海道のような広大で風が年中吹きやすいところでは特に風力発電設備を備えることで、より効率的に電気エネルギーを生み出すことができます。
これまでは風力発電のための設備の導入費用が大きいことや、発電後の売電収入の目安が立てにくいことから、あまり取り上げられることのなかった風力発電ですが、最近では導入費用が下がりつつあります。また、得られる風力とその売電収入のデータがだんだんと集まっており、安定したマーケットになるべく進んでいます。
上記のように風力発電には数々の魅力的なメリットを挙げることができますが、一方でデメリットも残されています。
その代表的なものとして以下が指摘されています。
風の強さが一定であれば安定的な発電量を得られますが、風速が不安定であれば発電量にばらつきが出てしまいます。そのため、風が安定して吹きやすい場所に発電設備を設置することが求められます。また、台風のような暴風時には、装置の障害を避けるために設備の機能は停止し、その間は発電がストップします。
風力発電はその原理上、ブレードが回転することから風を切る音が発生し、また設備内部の機械的な音も生じて来ます。また、風車は人間の耳で聞こえる音だけでなく、耳では感知できない低周波音を発しているとも言われているようです。この影響によって、耳鳴りや不安、抑うつなどの自律神経失調症のような状態になる人々もいるため、人が暮らす場所からは離れたところに建設しなくてはならないようです。
風力発電は、通常1基の設備ではなく多数の設備を周辺土地に設営することになります。そのため、風光明媚であった自然の景観が、多数の機械的な設備によって損ねられることがあります。ただ、風車をランドマークや街のシンボルのように扱う場合もあるため、この問題は割と主観的と言えそうです。
騒音が気にならず、景観を損ねることがなく、また風の強さが一定であることは風力発電における望ましい条件であるため、その条件を満たす場所はやはり限られてしまいます。
少なくとも、風の強さが一定であることは、安定した発電量のためには不可欠な条件となります。
今回は、風力発電の持つメリットとデメリットを合わせてご紹介しました。
尽きることがない風のエネルギーを活用することから資源枯渇の心配がなく、また有害物質を出さないことから地球環境にもやさしいエネルギーであることがご理解頂けたかと思います。また、再生可能エネルギーの主力である太陽光にはないメリットも風力発電にはあります。
一方で、発電量が不安定になるケースがあることや、風速、騒音、景観の問題から設置場所が限定されるというデメリットも残されています。
それでも、このようなデメリットは他のエネルギーが持つメリットで補うことが可能であり、風力発電の持つメリットを最大に引き出すことが出来ると思われます。
2016/12/05