2011年発生の東日本大震災から引き起こされた原発事故をきっかけに、日本では再生可能エネルギーを積極的に活用する動きが一層強まりました。
再生可能エネルギーとは、
「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」
と法律で定義されており、自然豊富な日本には太陽光をはじめとして様々なエネルギー源が存在します。
そこで今回の記事では、再生可能エネルギーにはどのような種類があり、それぞれどのような特徴があるのかをご紹介したいと思います。
有望視されている代表的な5大再生可能エネルギーには、次のようなものがあり、現在、日本では積極的に活用が促されています。
太陽の光を活用するため、様々な場所に装置を設置することが出来ます。
再生可能エネルギーの中でももっとも導入が容易です。
屋根はもちろん、太陽光発電パネルの種類によっては壁面に備え付けることも可能です。機器メンテナンスもほとんど必要としません。
その手軽さとは反対に、初期投資額が大きな負担となります。太陽光を使うためには、太陽光パネルだけではなく、工事費用、パワコンなどのその他設備なども購入しなければいけません。最近では、発電した電気をためておけるように、蓄電池を一緒に購入する人が増えています。昼間に発電した電気をためておき、夜の電気も太陽光でまかなう方法です。蓄電池も様々な種類がありますが、これもかなり大きな投資となります。
しかし、それでも多くの人が導入できているのは、太陽光ローンのおかげです。太陽光ローンとは、太陽光導入のみに使えるローンで、様々な金融機関が低金利で提供しています。太陽光の場合、売電ができることもあり、ローンを組んだとしても、売電した収入から支払いができます。銀行側からすれば、支払いができなくなるリスクも少ないため、審査も比較的簡単に通ります。
最近では、屋根だけではなく、広い土地に太陽光を敷きしめる人も出てきました。売電の単価は一定期間固定で契約をしますが、近年その単価が徐々に落ちてきています。太陽光発電の導入を考えている人は、早めに検討したほうがいいでしょう。
風の力を電力に変えるもので、発電コストが安いことが特徴的です。
また、エネルギー変換効率も比較的高いことが知られています。
風力発電のための設備設置の工数は比較的短期間で済み、近年では、風力発電が増加してきています。ただ、タービンなどの部品の値段が高く、特に日本製にいたっては、世界平均から大きく外れた値段で売られています。そのため、競争力が乏しく、今後の動向に注目が集まっています。
ただ、日本政府も風力発電の重要性を認識しており、巨大風力発電設備の開発を後押ししています。騒音や落雷など問題はまだいくつもありますが、今後改善がされ日本中に風力発電が広がる日も近いかもしれません。
日本では昔から活用されてきた再生可能エネルギーであるため、技術的に確立されており信頼性が高いと言えます。
また、水が高いところから流れ落ちる力を利用するため、輸入に頼ることのない長期的に安定した発電が可能です。発電の過程で地球温暖化の原因と考えられている二酸化炭素を排出しない、自然環境に優しい発電方法でもあります。
河川、用水路などの形状をそのまま活用できることから、大規模ダムを建設しなくても、小規模水力発電をおこなうことができます。もし、大規模なダムを作るとなると、今の日本では厳しいと言えるでしょう。大規模なダムを作るためには、森林の伐採をしなければならず、生態系を変えてしまうおそれがあるからです。
ただ、排水などを利用した小規模なものであれば、街中や郊外でできるため、今後のトレンドになる可能性があります。他の再生可能エネルギーよりも安定的に電気を作れるため、他の発電方法と合わせると相乗効果が大きくなります。
地熱発電は、地中深くにあるマグマのエネルギーを使用します。熱から発生する水蒸気を取り出し、タービンを回すことで電気に変えることができます。
また、発電時に発生する高温の蒸気や温水は、暖房や農業にも再活用でき、二酸化炭素なども排出しません。地熱は水力とともに純国産の再生可能な貴重なエネルギー資源であり、安定供給が期待できることから、今後も開発が進んで行くことでしょう。
バイオマスとは、動植物を源とするエネルギー源を総称するもので、それらバイオマス資源を燃焼したりガス化したりすることで電力を生み出します。
バイオマスは光合成によってCO2を吸収して成長するものであることから、地球温暖化対策にも有効な資源とみなされています。
また、廃棄物の再利用にも活用できます。
以上の5大再生可能エネルギーは今後の電力源として最も期待されているものですが、日本ではその他にも自然を活用した以下の再生可能エネルギーも期待が寄せられています。
太陽の光ではなく、熱を活用したものであり、古くから活用されています。
発電の原理は、太陽の熱エネルギーを専用装置に集めることで熱を生み出すことにあります。
シンプルな原理で安価です。給湯や暖房に活用されます。
北海道など寒冷地の気候を活用した再生可能エネルギーです。
冬に蓄積された氷や雪を活用して冷却エネルギーを得ます。
従来、豪雪地帯では雪を排除するものとして扱っていましたが、逆に冷蔵などに利用しようという着想から生また資源です。
地下水、海水、河川等の水温度と大気の温度の差を利用して得られるエネルギーです。
その温度差をヒートポンプ技術等によって熱エネルギーに変換し、給湯や暖房に活用できます。
地下10~15mの深さは年間を通して一定の温度が保たれています。
その地中熱と外気の温度差を活用することでエネルギーを得ます。
ヒートポンプ技術を活用して温度差から熱エネルギーを生みだし、エアコン費の節約等に役立てることができます。
空気中の熱を吸収し、温めたり冷やしたりすることでエネルギーを得る方法です。温度差熱や地中熱と同様に給湯器やエアコンで利用されています。
他にも、海洋温度差発電や潮流発電などが、今後の再生可能エネルギー源として期待されています。どちらも海の動きや温度の違いを利用した新しい発電方法です。
東日本大震災後、原発をなんとかしなければいけないと誰もが一度は危機感を持ったのではないでしょうか。結果として、日本中の原発が止まり、火力発電の割合を増やすことで、今にいたります。
何かを変更すれば、何かほころびが出てきます。もともと、火力発電の原料である原油を海外から輸入しており、2011年以降その輸入量は増大しました。その結果、2013年に過去最大の貿易赤字を記録してしまいました。ちょうど、日本が円安の時期だったということもありますが、貿易国である日本にとっては、衝撃的な結果です。
また、火力発電を増やしたことで、二酸化炭素の排出量がおのずと増えました。二酸化炭素の排出量を減らすために活動しているのとは、正反対です。このような様々な影響もあり、原発にかわる新たなエネルギーとして、再生可能エネルギーが今注目を集めています。
二酸化炭素を出さず、原発のように危険性もありません。今後持続的な社会を作るためには、再生可能エネルギーなくして成り立たないと言えるでしょう。
以上のように、自然豊かな日本には様々な再生可能エネルギーの源が存在しています。
その中でも、太陽光を始めとした5大再生可能エネルギーは、電力を生み出す源として大変注目されており、今後の技術革新や国の補助金制度等の活用によって、広く普及が見込まれています。
再生可能エネルギーを活用する際に、本記事がそれぞれの特徴を理解する助けとなれば幸いです。
(参考)
・日本経済団体連合会『持続的な再生可能エネルギーの導入に向けて』
http://www.meti.go.jp
・環境省『再生可能エネルギー普及に要する費用と普及がもたらす具体的な効果』
https://funtoshare.env.go.jp
https://funtoshare.env.go.jp
・経済産業省『日本のエネルギーのいま:抱える課題』
http://www.meti.go.jp
2017/08/10