出典 http://www5d.biglobe.ne.jp/~miraikai/kodomofunka.html
持続可能なエネルギー社会の実現に向けて、近年では国や民間レベルで様々な種類の再生可能エネルギーの活用が試みられています。再生可能エネルギーはその名前の通り何度も再生可能であるため、石油や石炭などの将来枯渇する資源よりも未来において安定して利用できます。また、CO2を排出しにくく環境にも優しいため、オルタナティブな方法として注目されています。
再生可能エネルギーとしては、太陽光発電、風力発電、水力発電、バイオマス発電などが有望視されていますが、地熱発電も同様に大きな期待が持たれています。
この5つの再生可能エネルギーは、「5大再生可能エネルギー」と総称されることもあり、国が運営する固定価格買取制度の対象にもなっています。
しかし、地熱発電は、個人の家庭でも取り入れられる太陽光発電や、風車が印象的な風力発電等太陽光や風力等と比べれば知名度はそれほど高くなく、そのため一般にはまだ理解が進んでいないのではないでしょうか?
そこで今回は、地熱発電とはどのような特徴を持っているのか、その概要をご紹介したいと思います。
地熱発電の「地熱」とは、地球が内部に保有している熱エネルギーのことです。
そして地熱発電は、その熱エネルギーを電気エネルギーに変換して活用する発電方式となっています。
具体的には、地球内部の熱で発生した水蒸気で蒸気タービンを回し、タービンの回転で電気エネルギーを得るという仕組みになっています。
このように、タービンを回して電気を生み出すという原理は火力、原子力、風力、水力等と同様ですが、エネルギー源として、地球が自ら保有している熱を活用することが最大の特徴です。
地球の内部は、その中心部から地表に向けて核、マントル、地殻に分かれます。
核は地表から約6370km(地球の半径)に位置する中心に存在し、その付近は5000℃から6000℃という極めて高い温度になっています。
核からマントルに至る部分は3000℃から5000℃になっており、そしてマントルから地殻の境目でも数百℃から1000℃の高温になっています。
特に、マントルと地殻の境界にある「マグマ溜まり」と呼ばれる部分は1000℃以上もの高温です。この「マグマ溜まり」が、地熱発電で活用する熱エネルギー源となります。
地球内部の熱は永遠に尽きることはないため、持続可能なエネルギー社会にとって多いに期待できるエネルギー源と言えます。
以上のように、地球が内部に備えている高熱を活用することから、地熱発電には次の特徴があります。
電気を得るために別途燃料を調達する必要はありません。地球そのものがボイラーと言えるでしょう。マグマが持つ熱は永久的であるため、エネルギー源として枯渇することがありません。地球が存在する限り永遠に活用できます。
地球内部の熱は、季節や天候の変化に影響を受けません。また、時間帯によって熱源が変わることもありません。そのため地熱発電は、安定した一定量のエネルギーを低コストで得られるベースロード電源としての特徴を持っています。太陽光や風力、水力を資源とした発電はその日ごとに資源の状態が変化する上、その変化をあらかじめ予想することは難しいため、その点では地熱発電は非常に安定しています。
国内の地熱を活用するため、海外から燃料を調達する必要はありません。そのため、海外の市場や政治状況の影響を受けにくいと言う特徴があります。ちなみに、資源となる地熱は火山活動が活発なところに生じやすいです。そのため、日本国内では九州地方や東北地方などの火山の多い土地に発電所が設けられています。また、世界的に見たときに一番地熱発電による発電力が多いのは現時点ではアメリカとなっています。
地球内部の熱がエネルギー源になることから、資源を燃焼させる必要はありません。そのため燃焼により発生するCO2の排出を抑えられます。その上、騒音や景観破壊などの公害もありません。地熱発電は再生可能エネルギーの中でも特に環境に優しい発電方法となっています。
いかがでしたでしょうか?地熱発電は、地球自体が内部の高温から生じる水蒸気を活用します。それは、あたかも永遠に使える巨大なボイラーを活用するようなものと言えるでしょう。
エネルギー源を国内で調達できることから、海外の動向に影響を受ける心配もほとんどなく、安定した電力供給の元となりえます。
特に日本は火山が多いため、熱源として活用できる機会も多いというメリットもあります。
いくつかの課題は残されているものの、地熱発電は日本において電力を安価で安定供給するための手段として、大きく期待が持てる発電方式と言えるでしょう。
2017/02/15