いよいよ2016年より一般家庭にも適用され始めた、電力自由化。人々にその存在を知ってもらうためにテレビでは盛んにCMが流れ、ネットでもいろいろな広告を見かけるようになりました。様々な情報が飛び交う中で、もっとも気になることは、「結局それで、電気代は安くなるの?高くなるの?」ということではないでしょうか。情報によっては安くなるという主張がある一方、いやいや高くなるよという主張も見かけるので、実際のところどうなんだ?と思ってしまいますよね。
電気代については家庭や個人の利用の仕方に大きく左右されるため、各状況ごとに見積もってみなくてはなんとも言えないのですが、各社様々な電気料金のプランを見てみると、年間で1万円ほど安くなると言われています。従来の電気料金に比べて5%減、というところです。
「なんだ、そんなものか」と思うかもしれないですが、これは仕方ない面もあります。というのは、国は従来の料金と比較して大きな差が出ないように、各会社に対して指示をしているのです。
これは、行き過ぎた価格競争になるのを防ぐためです。消費者というのはいつだって安くてお手頃なサービスを選びます。そのため、どこかの企業が安売り始めると他社もそれに合わせるしかなくなり、値下げ競争が起きるというわけです。しかし、飲食の世界ではよく見られることですが、「安かろう悪かろう」では、私たちの生活を支えるインフラという意味合いが無くなる可能性があります。安くなったためにサービスがおかしくなったり、電気の供給が安定的でなくなったり、メンテナンスが行き届かずトラブルが続出したり、といろいろなマイナス面が出てくる可能性があります。
また、価格が安くなることで電気の供給会社の経営が著しく悪化し、倒産して契約している家庭や事業者に電気が供給されないという事態を未然に防ぐ意味も込められています。
実際のところ年間で1万円ほど安くなると言われていますが、電気の使い方によっても差が出てくると言われています。使えば使うほど、年間もしくは月間の単価が安くなるという見方も多く、2016年の4月から始まり、実際に利用している人はどうなっているのかというのを参考にする必要がありそうです。
電力自由化に伴い、これまでの火力や原子力以外のエネルギー源で発電する会社が出てきました。
太陽光や地熱、バイオマスなど様々な再生可能エネルギーを活用して発電し、それをもとに電気を供給する取り組みは一部で以前よりありましたが、電力自由化に伴ってより活用されるようになったということですね。
では、再生可能エネルギーは高いのか?それとも安いのか?ということですが、現時点では若干割高になる可能性が高いです。というのは、本格的に再生可能エネルギーで発電している事業者はまだ多くは無く、設備の新設やその維持に費用がかかるためです。
今後、さらなる高効率化が可能になれば、それにつれて電気料金は安くなっていくでしょう。しかし、短期的には従来と同様もしくは少しだけ高くなる可能性は否めないということです。
たとえば、バイオマスを活用した発電の場合、動植物から出される有機性のエネルギー資源を燃やし、あるいはガス化して発電するものであり、エネルギー資源を貯める施設や燃やす施設が必要になります。そのための設備をつくる必要があるので、それに費用がかさんでしまうのです。
しかし、一度設置して設備活用が軌道に乗ればあとは維持管理に要する費用だけになりますから、中期的には電気代が下がる可能性が高いです。また、技術の進歩が進めば安価で高効率の設備新設もできるようになるはずですから、それに合わせて電気代も下がっていくことになるでしょう。
一方でバイオマスの場合はごみ処理場や木材処理工場などを活用して発電ができますから、既存の設備を使うことによって電気代を下げる可能性はあります。そのような取り組みをしている事業者も一部ですがありますので、今後広まっていくはずです。
上記の説明を見ただけでは「結局あまりおトクじゃないのか」と思われてしまうかもしれませんが、実際に利用してみた人の中には、大量の電力を消費するわけでもない核家庭で、さらに昼型・夜型どちらの生活スタイルの人もいるため、時間帯別の料金値下げも利用できないという状況でも、電力自由化を機に乗り換えてみたら電気代が安くなったという人も中にはいるようです。
やはり一度、ご自分の状況における見積もりを出してみることをお勧めします。まだ始まったばかりの電力自由化ですが、今後の展開から目を離さず、注視していきたいものですね。
2017/02/07