ご家庭の給湯や暖房などを使用する際の熱源は、以前こそガスを活用したケースが多く見られていましたが、近年ではオール電化に切り替えられる例も増えてきました。
もちろん、プロパンガスや都市ガスといった熱源もまだ活用されているご家庭もありますが、2016年からの電力の全面自由化が始まったことも受けて、オール電化の住宅がにわかに注目を浴びてきました。
そのため、今後の熱源としてオール電化とガスのどちらを選択すればよいか判断に迷っているご家庭も多いかもしれません。
そこでこの記事では、オール電化とガスを比較し、両者の違いを整理してみたいと思います。
ガスを導入する場合は、通常はガスのみで熱源を確保するということはなく、ガスと電気を併用するという運用方法になります。つまり、ガスの力で給湯や床暖房を利用することで、家庭で使用する電気使用量を極力抑えることになります。
一方、オール電化の場合はご家庭で使用する全エネルギーを電気で賄うことになります。したがって、オール電化にすれば光熱費の管理を一本化でき、家計の管理を行いやすくなります。
ガスを利用した場合は、ガスの基本料金と従量料金が必要となり、さらに通常は電気も併用するため電気代の基本料金と従量料金も合わせて必要になります。一方、オール電化の場合は、ガス利用に必要な料金をカットできます。ガスの基本料金が不要となることから、オール電化の方が経済的に有利と言えるでしょう。
具体的に、オール電化とガスの単価を比較してみます。ここでは、電気とガスによるエネルギーを1kWhで揃えて一般公開されている情報からコスト比較をしてみます。(1kWhとは、1時間あたりの電力使用量を示します)
(出典:石油連盟Webサイト『ほかほかアカデミー|なっとく家計ゼミ』)
以上のように、電気の場合は昼の時間帯こそ高い傾向ですが、夜間帯にはガスと比較してかなり低コストであることがわかります。したがって、オール電化で主に夜間帯で電気を活用するプランや方法を取れば、ガスを併用する生活よりも光熱費をより下げられることが出来るでしょう。
ガスを活用する場合、たとえばキッチンでも熱を得るためには火を発生させることが必要です。また、ガス漏れや不完全燃焼というリスクが存在することも注意しておく必要があります。これらガスが保持する特有のリスクから、安全性という観点からはオール電化が有利と言えるでしょう。
オール電化とガスを比較して使い勝手が良いのはどちらか、機能面の比較をしてみます。ここでは暖房設備と調理設備を使用するケースを見てみます。
暖房で部屋を暖める場合、特に寒い地域になるほど、いかに速く暖められるかという即効性が気になるところです。ガスを使用した暖房機は起動が速く、また出力が大きいため素早く部屋が暖かくなります。そのため、ガスによる暖房の方に即効性の高さが伺えます。
ただ、コスト面から見ていると、基本的にはエアコンの方がガスファンヒーターよりも安く抑えられますが、部屋の大きさによってはガスファンヒーターの方が金額を抑えられる場合もあるようです。コストと効果を比べ、自分にとって何がメリットなのか検討する必要がありますね。
調理設備という側面からみれば、オール電化ではガスコンロの代わりにIHクッキングヒーターで調理を行うことになります。
IHクッキングヒーターは熱の伝導効率が高く、また直接火を起こす必要がないため安全で快適に調理ができます。
ただし、IHクッキングヒーターに使える鍋の材質には限りがあるため、鍋の選択の広さについてはガスコンロが有利です。ただし、IHクッキングヒーターには数々の自動調理機能を有するものもあり、電気ならではの機能面が充実しています。
私個人の感想で言えば、IHクッキングヒーターがオススメです。つい最近までガスコンロでしか調理したことがなく、「IHクッキングヒーターは温まるまで時間がかかる」などのマイナス面ばかり耳にしていました。
最近になって初めてIHクッキングヒーターを利用しましたが、使用中は特に困ることもなく、むしろ掃除がとっても簡単で便利といった印象です。火傷をするリスクも低いため、お子さんのいる家庭にも向いていますし、調理後のスイッチの消し忘れやガスの元栓の閉め忘れという心配もないため高齢者の方の利用にも最適ではないでしょうか。
以上、オール電化とガスの比較を行ってきましたが、総合的に見てオール電化にメリットが多くありそうです。経済性の面では、電気の使用形態(電気代プランの選択や電気使用の時間帯、家族構成等)によっては割高になるケースも考えられますが、多くの場合、夜間帯に電気を使用することやオール電化向け料金プラン選択等によって割安な電気代を実現することも可能です。
ただ、今年から始まった電力自由化によってガス会社にも電力の販売を行っているところがあり、セット料金などを利用することによって料金が抑えられることもあるようです。オール電化とガスの比較の際に、ご参考いただければ幸いです。
2016/10/19