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電力の新規参入事業者PPSとは?その仕組みをご解説

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従来、需要家(電力を求めて購入する顧客)が電気を利用するには、東京電力や関西電力など既存の大手電力会社が供給した電力を活用していました。

その後、規制緩和という日本社会の流れの一環で、長らく大手電力会社による地域独占状態であった電力事業にも規制緩和の波が押し寄せました。ついに、電力の市場にも競争原理が導入されたわけです。

 

その流れを受けて誕生したのが、PPSと呼ばれる電力の新規参入事業者です。本記事では、PPSとはどのような事業者で、どのように電力を需要家に供給するか、その仕組みをご解説いたします。

 

PPSとはどのような事業者か?

PPSとはPower Producer and Supplierの略称で、特定規模電気事業者のことを指し、通称「新電力」とも呼ばれます。

 

PPSは、東京電力などの既存の電力会社以外にも電力供給ができる事業者で、2000年に施行された改正電気事業法により誕生した新しい形の電力会社になります。同法案によって電気小売が自由化されたため、既存電力会社以外の事業者でも電力市場に参入が可能になったわけです。

 

PPSには各地域への電力供給の義務はなく、電気料金を自由に定めることが出来ます。そのため、既存の大手電力会社の電気料金よりも格安で電力供給が可能となっています。

 

PPSが提供する電力の源は自社の発電設備によるものや、卸電力市場から調達したもの、他の工場で生み出される余剰電力を買い取ったものなど様々で、PPSに参入する業種としては鉄鋼会社、商社、ガス会社、石油会社など多くあります。2017年2月現在、PPSとして届けられている数は383社(※)となっています。

(※)経済産業省ウェブサイトを参照
http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/retailers_list/

 

なお、2017年2月現在では、PPSによる電力供給先は契約電力が50kW以下の需要家まで適当となっています。

 

PPSから需要家へ電力を供給する仕組み

PPSとは上記の通り、既存の大手電力会社以外の新規参入した電力事業者になりますが、それでは、どのような仕組みで電力が需要家に伝わるのでしょうか。

 

従来は以下の経路で需要家に電力が供給されてきました。

「既存電力会社の発電所による電力」 → 「既存電力会社が保有する送電線網」 → 「需要家」

 

一方、PPSの場合は以下のようになります。

「PPSが提供する電力」 → 「既存電力会社が保有する送電線網」 → 「需要家」

 

つまり、電力の源は異なるものの、送電については既存の大手電力会社の送電設備を活用することになります。

 

なお、何らかの事情でPPSが電力を供給できなくなった場合でも心配はありません。PPSと既存電力会社は送電委託契約を結んでおり、PPSによる電力供給が途絶えても、その地域の既存電力会社が電力供給をバックアップ(代行)できる仕組みになっています。したがって、電気料金が安いとは言うものの、電力の品質低下の懸念はほとんどないと言えるでしょう。

 

PPSが提供する電力は、上記にも少し触れましたが、自社内の発電設備によって生み出された余剰電力や他工場等から調達した余剰電力など、PPSの形態によって異なります。電源としては、火力、風力、バイオマスなど多様な種類になります。

 

PPSの存在意義は?

PPSは、価格が安くなるだけではなく、電源の選択の自由を与えてくれます。東北地震が起きるまでは、原子力発電と火力発電が日本の電源でしたが、震災以降火力発電がほとんどのウエイトを占めるようになりました。火力発電の燃料となる化石燃料は、ほとんど輸入に頼っており、資源が枯渇してしまえば発電ができなくなってしまいます。そこで、有限なエネルギーに代わり注目されているのが、再生可能エネルギーです。水力発電、地熱発電、風力発電など、自然の力を利用して半永久的に使えるエネルギーのことを指しています。これらの発電方法は、まだ完璧とはいえず、現在も設備の開発が進められています。

 

100社以上もあるPPSの中には、再生可能エネルギーで発電した電気を供給している会社もあります。その会社から電気を買うことで、再生可能エネルギーの開発にお金がまわり、さらに効率の高い設備の開発に繋がります。
確かに、経済的に考えれば、できるだけ安い電気を選びたいところですが、化石燃料は永遠持つわけではありません。PPSは、電気を安く買えるだけではなく、需要家に電源の選択肢を与える役割も持っていることを覚えておいてください。

 

代表的なPPS

PPSの仕組みやメリットがわかっていただけたと思います。それでは、次にPPSにはどのような会社があるのか紹介させていただきます。現在は、100社を超える企業がお得な電気プランを提案しています。
大きくわけて、2016年よりも前から50kW以上の電気を法人や工場に販売していた会社と、2016年の電力自由化を機に参入してきた2つのパターンがあります。その中でも、今回は2社を紹介させていただきます。

 

SBパワー

PPSとして積極的に広告展開をしているのがSBパワーです。2016年の電力自由化のタイミングで電力の供給を始めた企業です。ソフトバンクと連携し、電話代、インターネットの契約を組み合わせることで、割引がききます。ソフトバンクユーザーなら、要チェックのPPSです。

ただし、電気の供給範囲は、東京電力、北海道電力、関西電力の管轄のみとなりますので、注意しておきましょう。

 

東京ガス

東京ガスは、名前はガス会社ですが、自社で火力発電を持ち、古くから電気の供給をおこなっている日本最大のPPSです。PPSで電気代を抑えたいけど、信頼できるところにお願いしたいという人におすすめです。他のPPSは電力を他の会社や個人から買い取り供給をしていますが、自社ですべてコントロールできないというのは、何かあった時に対応が少し遅れます。その点、自社ですべてのコントールができる東京ガスは、何かあった時のサービス面は信頼できるでしょう。

 

また、お得なプランを用意しており、ガス、電気、インターネットを組みわせることでそれぞれに値引きがあります。3つすべて必要なわけではなく、ガスと電気、電気とインターネット、ガスとインターネットとペアでも問題ありません。現在、東京ガスでガスを契約している方は要チェックです。

 

よくある質問集

PPSをこれから利用するにあたり、様々な疑問があるのではないでしょうか?よくある質問をまとめましたので、参考にしてみてください。

 

1.地域によっては契約できない?

PPS(新電力)は、全国に100社が500以上のプランを出しているため、全国でサービスを受けることができます。しかし、100社すべてのサービスを受けられるわけではありません。それぞれの企業がカバーしている地域は、決まっておりホームページで確認することができます。

 

例えば、SBパワーは、東京電力、北海道電力、関西電力の管轄内に電力の供給が可能です。九州や四国にいる人は、SBパワーは使えないということです。これはあくまでも一例ですが、他の企業も同じように供給地域が決まっていますので、まずは自分の地域でどの会社が供給しているか確認するようにしましょう。全国で電力自由化が始まったので、必ずどこかの会社の管轄に入っているはずです。

 

2.実際はどのくらいの人が乗り換えているのか?

2016年から電力の自由化が始まり一般家庭でもPPSを使えるようになりました。電気代が安くなるということで、多くの会社がプランを出していますが、実際のところは乗り換えている人はごくわずかのようです。

 

その理由として、新しいサービスなので様子を見ている人が大半だということです。誰でも新しいことに飛びつくわけではないので、普及にはもう少し時間がかかりそうです。また、500以上に及ぶプランから選ぶ行為が手間であり、検討をするのがめんどくさいという人も多いのが現状です。比較サイトなどがありますが、比較しきれないほど情報があり調べているだけでも疲れてしまいます。このような理由が他にもいくつも重なり、普及の足止めをしています。

 

ただ、電気代が安くなることがわかっているので、家の電気代を下げたいという人はすぐに行動に移した方がいいでしょう。

 

まとめ

電力自由化によって誕生したPPSと呼ばれる新しいタイプの電力事業者。このPPSによる電力供給のおかげで、現在では50kW以上の高圧電力を求める需要家は、従来よりも割安で電力の調達が可能になっています。

 

PPSの登録数は2017年2月現在で383社となっておりますが、2016年からは家庭向けの低圧電力についても自由化が行われる見通しです。

 

そのため、今後は電力市場に参入する多様なPPSが誕生すると思われ、その結果、電力市場の競争によってさらに価格も低下し、高い品質の電力サービスが生まれることが期待できます。このような電力事情から考えると、今後電気代を少しでも安くしたい場合は、PPSの活用がお勧めすることができます。

 

PPSとはどのような事業者でどのような仕組みなのか、本記事がご理解の一助となれば幸いです。

 

(参考)
経済産業省公式ウェブサイト
http://www.enecho.meti.go.jp/

2017/07/01

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