電力自由化に伴い、様々なエネルギーを発電に活用する試みがなされるようになりました。さらに、電気を地産地消する取り組みもなされるようになり、地元で得られるエネルギーを使って発電し、それを地元で使うところが出てきているのです。この流れは特に新電力の会社に見られ、暮らしのあり方を見直そうという動きにもつながっています。
もともと電気の地産地消は東日本大震災をきっかけとして取り組みがなされるようになりました。一部の地域で計画停電が行われ、いかに電気が私たちの生活に結びついているかを改めて実感している人も多いのではないでしょうか。だからこそ、震災をきっかけに電気の地産地消が注目を集めているのだといえます。
電気の地産地消は、改めてユーザーが電気の使い方やエネルギーの活用法を考える良いきっかけとなっています。電気のつけっぱなしを改めたり、明るさを少し抑えたり、冷暖房の利用を少しだけでもコントロールしたり、ということが当たり前に行われるようになっているのです。自分たちの地元で自分たちのために電気を生み出すことで、できるだけ大切に使おう!という心構えが生まれ、浪費を抑えるきっかけになっているのです。
地産地消で電気を起こす場合は、消費される地域のすぐ近くに小規模な発電設備を設置し、生み出した電気をすぐ近くの地域に送り届けることができるようになります。これには実は大きな意味があるのです。
通常、電気の発電と送電は、火力や原子力などの大規模な発電所から高圧の送電線を通して各地域に送られます。そして、超高圧変電所を通し、そこからさらにいくつかの変電所を介して事業所や各家庭に送られるのです。
送電の際、かなり高い電圧に変換されて電気が送られていきます。さらに各家庭に送られる場合は変電所で低圧に変えて送電されるので、その過程で電気のロスが生じてしまうのです。せっかく生み出した電気が無駄になってしまっているのです。このように、様々な変圧設備が必要となりますし、それを維持管理する手間や費用も必要となるので、価格も高くなりがちなのです。
しかし、消費する地域の近くに小規模発電所を置いて送電することにより、それらのロスがなくなり、手間や費用も節約されて安い金額で電気を供給してもらえるのです。つまり、地産地消は電気を今よりもお手頃に手にすることができるので、消費する地域の方にとっては非常に大きなメリットがあるといえます。
地産地消では再生可能エネルギーを使うことで、よりメリットが大きくなっていきます。たとえば太陽光はよほど日当たりが悪くなければ、設備を整えることによってどこでも発電が可能になります。風がある地域では風力発電ができますし、温泉がある場所では地熱も期待できます。森林が豊かな場所では木材を使ったバイオマス発電もできます。このように、地元で生み出される再生可能エネルギーを使うことにより、設備と費用と、それを支える人さえいれば、安定的に電気の供給が可能になるでしょう。
しかも地域限定で電気供給ができれば、周囲の地域でトラブルが起こり、停電してしまったとしてもそれらに左右されることなく電気を使うことができます。周りの状況にコントロールされることがないので、安定感が高まるのです。
さらに、地元で生み出されるエネルギーを使うことで地域に雇用が生まれ、経済の流れが創りだされることになります。よって地域に富がもたらされる可能性があるのです。
地域ごとに電気を生み出し供給するようになれば、地域の安定感が強まり、より豊かな社会を創造するきっかけとなるでしょう。
2016/07/01