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今さら聞けない中小企業等経営強化法のすべて

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平成28年度7月より中小企業等経営強化法が施行されています。中小企業の成長を後押し、税制面や資金面での支援が期待できる制度です。製造業に関わらず、小売、外食、宿泊、運送、介護など様々な業界に対して、裾野を広くしていることが特長です。

 
これから設備投資を考えている中小企業は、この制度を活用しない理由はありません。ただし、制度には条件があり、すべての設備や地域が対象になるわけではなりません。

 
今回は、正しく制度の理解ができるよう、簡潔に内容をまとめてみました。これから設備投資をおこなう企業は必見です。

 

目次

 

中小企業等経営強化法とは

中小企業等経営強化法は、中小企業の生産性向上のサポートをすることで、稼ぐ力を後押しする制度です。この認定を受けると新規機械装置の固定資産税の優遇や、金融機関からの低利融資を受けることができます。

 

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経営力向上計画が支援の肝

中小企業の経営力を強化するためには、税制上の優遇だけでは一時的な対策となり、長期的な成長は見込めません。そこで、国は経営力向上計画の提出を義務付けています。

 
経営力向上計画とは、人材育成、コスト管理、マネイジメント、設備投資などを強化することで、中小企業の生産性を向上させることを目的にした計画です。自社の強み・弱みや経営状況、労働生産性などの目標や取り組みについて記載します。

 
つまり、国は税金の優遇をおこなうことを目的としているわけではなく、あくまで中小企業の成長を後押しするために、優遇措置をおこなっていることを押さえておきましょう。

 

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固定資産税優遇

それでは、実際にどのようなメリットがあるか見ていきましょう。まずは、税金の優遇措置についてですが、次のようなメリットを受けることができます。

 
・中小企業者が取得する新規の機械装置について、一定の要件を満たした場合、3年間、固定資産税を1/2に軽減できます。

 
・史上初の固定資産税での設備投資減税。赤字企業にも大きな減税効果が期待できます。

 
この制度のポイントは、赤字企業も減税の対象になるということです。もし、法人税が現在の対象となっている場合、黒字企業のみが自然と優遇の対象となりますが、固定資産税は売り上げに関わらず支払いが義務つけられています。そのため、赤字の企業でも支払い義務があります。

 
 

適応期間

 
平成29年4月から平成31年3月31日までの期間

 
 

中小事業者等が対象

 
中小企業についても、次のように定義されています。

 
・資本金もしくは出資金が1億円以下の法人

 
・資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員が1,000人以下の法人

 
・常時使用する従業員が1,000人以下の個人

 
 

条件

 
中小企業なら大きな優遇を受けられる制度ですが、優遇措置を受けるためには次のような条件が定められています。

 
・中小企業者が経営力を目的として投資する新規機械装置が対象です。ただし、新品に限られています。

 
・生産性を高める機械装置。生産性向上設備投資減税の支援要件のうち、160万円以上、なおかつ生産性1%向上を満たした機械装置が対象です。ただし、生産性向上設備投資減税の申請条件に含まれていた最新モデルの条件を満たす必要はありません。

 
 

設備の種類 用途又は細目 最低価格 販売開始時期
機械装置 全て 160万円以上 10年以内
工具 測定具及び検査工具 30万円以上 5年以内
器具備品 全て 30万円以上 6年以内
建物附属設備 全て 60万円以上 14年以内

 
 
※工具・器具備品・建物附属設備については、平成29年4月1日より地域・業種を限定した上で拡充されます。埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府以外の県については、業種に関係なく対象となります。対象業種については、県ごとに細かく分けられているので、以下からご確認ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/

 
 

特例

 
・リースや自社で製作する設備は対象外。ただし、所有権移転リースであり、リース会社が固定資産税を負担する場合は該当となります。その場合、リース会社が特例を利用し、軽減費用をリース料金から減額することで中小企業事業者等に還元する仕組みです。申請には、工業会証明書、リース見積書、(公社)リース事業協会が確認した軽減額計算書が必要です。

 
・従来であれば、経営力向上計画の認定後に、設備を取得することとなっています。ただし、例外もあり、設備取得から60日以内に経営力向上計画が受理されれば問題ありません。

 
・ほかの税制との重複適用可能です(生産性向上設備投資促進税制、中小企業投資促進税制)。ただし、発電については、中小企業等経営強化法の対象には入りません。後ほど詳しくご説明します。

 

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中小企業経営強化税制

固定資産税の減税に合わせて、中小企業経営強化税制という制度が設けられています。青色申告をおこなう中小企業者等が、指定期間内に中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得して指定事業に使用した場合、即時償却又は価格の10%の税額控除を選ぶことができます。

 
 

指定期間

 
平成29年4月1日から平成31年3月31日までの期間

 
 

一定の設備とは

 
申請対象となる設備は、生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)に分けることができます。申請の最低限の条件は、次の通りです。

 
 

生産性向上設備(A類型) 収益力強化設備(B類型)
機械装置 160万円以上/10年以内 160万円以上
測定工具及び検査工具 30万円以上/5年以内 30万円以上
器具備品 30万円以上/6年以内 30万円以上
建物附属設備 60万円以上/14年以内 60万円以上
ソフトウェア 70万円以上/5年以内 70万円以上

 
 

指定の事業

 
農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、建設業、製造業、ガス業、情報通信業、
一般旅客自動車運送業 、道路貨物運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、郵便業、卸売業、小売業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食
サービス業、生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、
協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

 
 

A類型:生産性向上設備の要件

 
A類型を申請するには、次のような条件を満たしている必要があります。

 
・一定期間内に販売されたモデル。最新のモデルである必要はありません。

 
・生産性が旧モデルと比べて年1%向上している設備

 
・どちらも工業会から証明書を取得していること。

 
 

B類型:収益力強化設備

 
B類型を申請するには、次のような条件を満たしている必要があります。

 
・年平均の投資利益率が5%以上となることを見込み、経済産業大臣の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備

 
 

投資利益率の計算方法

 
「営業利益+原価償却費」の増加額÷設備投資額

 
 

設備取得時期について

 
設備の取得時期については、原則として経営力向上計画が認定された後と決められています。ただし、設備取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される場合は、例外とみなされます。

 

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金融支援

経営力向上計画が認定された事業者は、政策金融機関の低金利融資、民間金融機関の融資に対して通常とは別枠での信用保証、債務保証との資金調達ができるようになります。普段は、融資を受けれない中小企業や個人事業主でも、経営力向上計画が認定されれば、国のお墨付きがつき資金の調達がしやすくなります。これから大きな投資、事業拡大を目指していく上で、心強い支援の一つです。対象となる支援は、次の通りです。

 
 

日本政策金融公庫による低利融資

 
経営力向上計画の認定をうけた事業者がおこなう設備投資に必要な資金について低利融資を受けることができます。

 
 

商工中金による低利融資

 
経営力向上計画を策定している事業者に対して、商工中金の独自の融資制度により、低利融資を受けることができます。

 
 

中小企業信用保険法の特例

 
中小企業者は、経営力向上計画を実施する上で、民間金融機関から融資をうける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。例えば、普通保険が通常枠として2億円ありますが、別枠でさらに2億円の支援を受けることができます。

 
 

中小企業投資育成株式会社法の特例

 
経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金が3億を超える株式会社も中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることができます。

 
 

日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット

 
経営力向上計画の認定を受けた中小企業者の海外支店又は海外子会社が、日本公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける際、日本公庫による債務の保証(最大4億5千万円)を受けることができます。

 
 

中小企業基盤整備機構による債務保証

 
資本金10億円以下または従業員2千人以下の中堅企業等が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円の債務保証を受けられます。

 
 

食品流通構造改善促進機構による債務保証

 
食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に信用保証を使えない場合や、巨額の信金調達が必要となる場合に、食品流通構造改善促進機構による債務の保証を受けられます。

 

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中小企業経営強化税制 Q&A

ここでは、制度の気になるポイントをQ&A形式でご紹介します。

 
・生産設備とはどのような設備か?
生産等設備とは、製造業を営む法人向上、小売業を営む法人の店舗又は自動車整備業を営む法人の作業場のように、生産活動や販売活動に使われる設備のことです。

 
・売電のみを目的とした太陽光発電設備の導入は対象になるか?
全良売電の場合には、電気業の設備となるため、中小企業経営強化税制の指定事業に含まれていません。一部自家消費や余剰売電をおこなう場合については、個別の相談となります。

 

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中小企業にはメリット大

中小企業等経営強化法は、中小企業の成長を後押しする制度です。これから設備投資をおこなう企業は、この制度をうまく利用することで、税制面・資金調達面で大きなメリットを享受することができます。内容を理解したところで、積極的に制度を利用していきましょう。
 
参考:経済産業省ホームページ
http://www.meti.go.jp/

 

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2017/04/26

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