今年の4月より、私たちの生活に大きな影響が出る変化が起きます。それは「電力の小売り全面自由化」です。
これは、電気を電力会社だけではなく、他のいろいろな会社から購入できるようになるという画期的なシステムです。つまり、お住まいの地域を管轄する電力会社だけではなく、電力供給事業をおこなう会社からあなた自身が選び、そこから電気を買うことができるようになるということです。
電気は私たちの生活の基盤となるエネルギーです。今やそれはインフラとも言えるほど、私たちの生活に大きな影響をもたらしています。電気があるからテレビを見れるし、パソコンでネットサーフィンができますし、寒い時は暖房を、暑い時は冷房をつけて快適に過ごせるようになります。
今年の4月からは、あなたの生活スタイルや価値観、あるいは欲しいサービスと組み合わせるなどして、買いたいところから電気を買えるようになるのです。
東日本大震災以降、電気料金の値上げが各所で見られるようになりました。これまで屋台骨を支えてきた原子力が以前ほど使えなくなり、火力など化石エネルギーを使った発電に頼ったり再生エネルギーを活用した発電に切り替わっています。
その結果、価格が上がって大きな不満が出てきたり、再び原子力を使うようになって大きな非難が巻き起こったり、さまざまな問題が出てきているのが現状です。
さらに、電力会社が電気の供給を独占していることに対しても批判があり、競争性がないという意見がすごく大きくなってきました。そういうことを背景に電力小売り自由化の検討が進められてきたのですが、いよいよ今年の4月から始まることになったのです。
とはいっても、電力の小売り全面自由化によって私たちの生活にどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
まずメリットですが、一番考えられるのは電気料金の値下げ効果です。
多くの会社が参入してくることによって、電気料金の価格競争が起こり、安いところにお客様が集中する可能性があるからです。
これは他の業界でも起こってきたことであり、参入する会社が増えてくると、同じ商品を扱っているならば価格は自然と下がってきます。
つまり、光熱費が安くなって生活費にゆとりが出る可能性があるということです。
価格については市場価格がどのように変化していくかを注視していく必要がありますが、競争が激しくなっていけば安くなっていくのではないでしょうか。
また、電力供給会社が増える事によって、トラブルがあったり災害に見舞われて一つの会社がダメになったとしても、ほかの会社から補助的に供給してもらうことができます。
電力会社だけですと災害発生時は復旧が完了するまで待たないといけませんでした。
しかも中枢がやられてしまったら、電気の供給が再開するまでに時間が必要です。
しかし、供給できる会社が増えれば、災害発生時に代替の役割を担うことができ、すぐに電気の供給が再開されるようになるのです。
一方でデメリットは、価格がどのように変化をしていくか、まだわからないということです。競争が激化していくと安くなる傾向になっていくと考えられますが、これは実際に始まってどう変化をしていくか?を見ていく必要があります。
従って、安易に「こちらの方が安いからそこにしよう」という判断がしづらいということです。
また、初めて電気の供給を行う会社にとっては未知の世界に行くということなので、開始後はトラブルが続出することが考えられます。こちらもしっかりと状況を見ていく必要があるでしょう。
どんなことでもメリットがあればデメリットもあるものです。それをあらかじめ頭に入れて、来る電力小売り全面自由化に備えることが大事ですね。
少しでも頭に入っているかそうでないか?は、あとあと大きな差になっていくでしょう。この機会に少しでも情報を仕入れて、本格開始後にどこから電気を買うか?を検討してみてはいかがでしょうか。
2016/02/02