出典 https://ja.wikipedia.org/
近年こそ電気自動車が注目を集めるようになりましたが、実は意外とその歴史は古いことをご存知でしょうか?
今のようにリチウムイオン電池や水素を活用した燃料電池があったわけではありませんが、電気を活用して自動車を走らせるという発想は古くからありました。それでも、様々な背景からガソリンを使用した自動車が広く受け入れられるようになり、長い期間にわたり、ガソリン自動車が主流となりました。
しかし、近年は地球環境保全への意識の高まりやバッテリー技術の進歩に伴い、再び電気自動車が脚光を浴びるようになってきました。
今回は、そのような電気自動車の歴史について、ご紹介いたします。
電気自動車が人類史上初めて登場した時期は、ガソリン自動車の登場よりも古い1800年代でした。登場した当初こそ実用化レベルまでは到達していませんでしたが、その後、1900年代に近づく頃には、実用に耐えうる電気自動車がイギリス、フランスにおいて開発されました。また、日本にも三輪自動車として電気自動車(アメリカ製の電気自動車プログレス)が個人レベルで輸入されました。
1900年代に入ろうとする頃、電気自動車の他にガソリンを動力源とした自動車も実用化されていましたが、電気自動車がもっとも普及に成功していたのです。
この頃のガソリン自動車は技術的に未熟な時代であり、そのメカニズムは製造が難しいこと、さらに、運転する方も高い技量が求められていたためガソリン自動車の普及は進みませんでした。一方で、電気自動車は製造とメンテナンスが比較的簡単であり、運転する方も自動車の始動が容易であるため、電気自動車の方が広く受け入れられていました。
1900年頃の世界は電気自動車が主流でしたが、1900年初期にフランスの自動車メーカーが高性能のガソリン自動車開発に成功し、これがきっかけとなりガソリン自動車の機構が洗練され始めました。一方、電気自動車の方では目立った技術革新は行われませんでした。
やがて、米国の自動車メーカー・フォード社が1908年にT型フォードを世に送り出し、政府の後押しも行われ、コスト低下とともにガソリン自動車が人々の間で一気に広く受け入れられるようになりました。このT型フォードが、ガソリン自動車の爆発的普及のきかっけとなったわけです。
そして、ガソリン自動車の普及とともに、世界において電気自動車の存在感が薄れて行きました。
T型フォードが登場して以来、近年まで世界中でガソリン自動車が主流となりました。日本では戦後のガソリン入手困難の時期や1970年代の石油ショックをきっかけに電気自動車への期待が持たれることがあったのですが、バッテリー性能等の理由により、電気自動車が主流に至ることはありませんでした。
しかし、近年では地球環境保全への意識が高まり、温室効果ガス削減を目指す努力が世界中で促されています。また、限りある地球資源の枯渇化の可能性についても警鐘が鳴らされるようになってきました。
そして、時を同じくして、リチウムイオン電池を始めとしたバッテリー技術が飛躍的に向上し、従来主流であったガソリン自動車と遜色のない性能の電気自動車も生まれ始めました。走行可能距離も200kmから500km近くまで実現しています。
そして、国による制度的な後押しも助けとなり、電気自動車がにわかに脚光を浴びるようになりました。再び、電気自動車の時代が到来したと言っても過言ではないでしょう。
今回は、電気自動車の誕生から近年の状況まで、その発展の歴史についてご紹介しました。
誕生自体はガソリン自動車よりも電気自動車の方が先でしたが、技術の革新性や化石燃料に関する各国政府の方針により、長い間、ガソリン自動車が世界の主流を占めてきました。
しかし、近年の地球環境への意識とバッテリー技術の向上、そして国による制度的な後押しの影響もあり、再び電気自動車の時代が到来しました。利便性についても、静音性やガソリン特有の臭いの無さ、そして燃費の割安さといった数々のメリットから、電気自動車は今後もますます人々の関心を集めるようになることでしょう。
(参考)
・一般社団法人次世代自動車振興センター 公式ウェブサイト「EV・PHVヒストリー|EV・PHV基礎知識」
http://www.cev-pc.or.jp/kiso/history.html
2015/10/31