電力自由化が導入され、早くも2か月が経過しています。4月は話題になったものの、最近はあまり大きな話題になっていないようです。各社が必死にアピール合戦を繰り広げています。実際に電力自由化の導入がどのような影響を与えたのでしょうか。
電力自由化によって何が見えてきたのか。それは、電気代金に対して多くのユーザーが関心を持っているということです。今年に入り、いろいろな会社が様々な激安プランを公開しました。会社によっては想定外の申し込みがあり、4月を待たずに申し込みを終了したところもあります。大手旅行代理店のHISなどがその例です。こちら「激安と訪販 電力自由化、見えてきた勝ちパターン」の記事に詳しくあります。
もっともHISの場合、使用電力量が大きな世帯を対象にしていたのが、想定外にそれ以外の層から大きな需要があり、申し込みが殺到しました。料金体系をシンプルにし、分かり易い金額比較にしていたため、価格設定を安くしている会社に多くの人が飛びついたと言えるでしょう。
このことから分かるのは、今まで既存の電力会社が提供していた金額に対して「高い」と思っている人がかなりいるということです。つまり、今支払っている金額と同等、もしくはそれ以上の価値を感じていない人が多いと言えます。HISの場合は早々にキャンペーンが打ち切りになってしまいましたが、この事例により多くの消費者が電気代の価格を高いと感じているという事実が浮き彫りになりました。
同時に、電力自由化は消費者にとっては非常にメリットが大きいと言えるでしょう。誰しも生活必需品にかけるお金はできるだけ抑えたいものです。現状よりも電気代金を抑えられるプランを提示できれば、そのような会社に人が集まりやすいと言えるのです。電力自由化は、消費者が電気代金に対してどう考えているのかを明らかにしたと言えるでしょう。
一方で、電力自由化の導入がもたらした消費者への弊害もあります。それは「情報過多」です。情報が増えたことはいいことではあるのですが、その反面デメリットもあります。情報が多くなったということは、選択肢が増えたということです。選択肢が増えると、消費者にとっては「どの電力会社に決めればいいのか?」がわかりにくくなったことを意味します。様々なプランがあり、さらに新しい電力会社が出てきたことにより、「自分にあったプランはどれなのか?」、「どんな情報をもとに選べばいいのか?」より考えなければならないことが増えました。
消費者は「なぜ、それを申し込むのか?」や「なぜ、そのプランでないといけないのか?」を知りたがっています。誰も自分の決定に後悔をしたくないものです。そこに必要となるのは、情報の量や選択肢の多さよりも「わかりやすく質の良い情報」と「背中を押してもらうキッカケ」なのです。
消費者は自信を持って決めたがっています。しかし、あまりにも情報が増えすぎて選択肢が多くなりすぎたために迷いが生じ、決めたくてもなかなか踏み出せません。そこに「自分にとってベストなのはコレだ!」と思う一手があると、消費者にとっては嬉しい判断材料となるでしょう。たとえば携帯料金がオトクになるとか、電気自動車購入時に割引があるとか、消費者にとってメリットがある料金体系にするとか、できるだけわかりやすいものがいいでしょう。
優良な情報はシェアされるべきですが、情報の溢れる近年、より賢い情報の取捨選択が必要でしょう。
2016/06/25