省エネという言葉が世の中に出てかなり時間が経ち、すみずみまでこの言葉が浸透しているように思います。
個人レベルでも法人でも、たとえば再生紙をたくさん利用したり割り箸を減らしたり、昼休みは消灯したり、排水量を減らす取り組みをしたり、「環境によければ!」という理由でやっているところがすごく多いですね。
では、省エネは環境にいい影響があるのか?というと、マイナスになる面もあることは否めません。
たとえば紙について。紙は木材が主原料であり、紙が必要な分木を伐採して資材としてたくさんの量を用意する必要があります。木を伐採するということは森林がなくなることを意味しているので、再生紙を活用して伐採量を減らすことにつながり、いい面は確実にあります。
一方で、森林をそのままにしておくことも実はよくないことでもあるのです。木にも寿命があり枯れることがありますし、土壌が活性化せず、水はけが悪くなることもあるのです。
なので、そうなる前に一度伐採して植え替えることが必要なのです。また、木を植えたあとは一本一本の間隔を大きくするために、ある程度育った段階で伐採する必要があります。これは森林のメンテナンスに必要なことなのです。
植えたままにしておくと木同士で土中の養分の取り合いになり、養分が十分に行き渡らず枯れる可能性があります。また、根が土中に張り巡らされて水はけが悪くなり、大雨が降ったときは土中に染み込まず表面を流れやすくなって洪水の原因になりかねません。さらに、水はけが悪くなるということは地すべりの原因にもなるので災害が起きる可能性も生じるのです。
それを避けるため、あえて木同士の間隔を広げる必要があります。森林が永く生きていくために、伐採をして適度な木の間隔にする必要があるのです。
再生紙を活用することは確かに大事です。一方で過剰なまでの意識や取り組みは却って森林を死滅させることにもつながるので注意しておく必要があります。
人間を過保護に育てると、体が十分強くならないまま大人になって病気になりやすくなるのと同じで、森林を過保護に守るとかえって寿命が短くなるのです。
つまり、省エネの取り組みをして環境をよくしていくためには、バランスよく取り組む必要があります。使うべきものは使うべきだし、使いすぎずある程度守ることも必要になります。絶妙なバランスは必要ありませんが、ある程度調和が取れるようにしていくことが大事なのです。
地球は生きています。生命力はあります。過保護な省エネの取り組みはそれを信頼せず、人間が自分たちで地球をコントロールしようとしているのか、とさえ思うこともあります。
しかし、地球は自らの手で生きる力を持っているので、それを理解して省エネに取り組むことが大事ではないかと思うのです。過保護に環境を守ろうとするのではなく、バランスよく守りつつバランスを考えて資源を使う。これが環境を守るため、よくするために今後考えていくことが要求されるのではないかと思います。
ただ、省エネは環境をよくすることにつながることは間違いありません。それによって人間が生活しやすくなるという側面も間違いなくあります。
やらないよりやったほうがいいです。ただ、過剰なまでの取り組みはかえって私たち自身を傷つけることになりかねいのです。だからこそ、バランスを考えて取り組むことが大事になってくるということです。
2016/05/04