物価と比例して電気代も変動するのが通例としてありますが、果たして日本は世界的にみて電気代が高いのか、安いのかということも気になりますね。ここでは世界主要諸国と比較して日本の電気代はどのぐらいなのか検証していきましょう。
世界主要国の電気代を比較してみると、一番高いのがデンマークとドイツという結果になりました。1キロワット当たり1時間の料金が35円から40円前後となっています。3番目はイタリアで30円程度。そして第4位の日本が25円前後となっています。
そして5位のイギリスは日本と非常に似ていて、23円前後。6位がフランスで18円、7位がアメリカで12円、8位が韓国で10円と続いています。
傾向として、火力発電に頼っている国ほど電気を作り出すのに燃料を輸入する必要があるため、燃料の単価に伴い、電気代も上昇するという傾向が見られます。
日本は1995年からずっと25円程度なので約20年間、ほぼ横ばいを推しています。しかし2011年に東北の大震災があるまでは下落傾向にあり、20円程度となっていましたが、震災をきっかけに再び電気代が上昇傾向にあります。
やはり原子力発電所が稼動できなくなった影響で、電気の供給が追いつかなくなったことが要因として挙げられそうです。
原子力発電所で作る予定だった電気を石油や天然ガスを資材とした火力発電に頼らざるを得なくなったということが響いています。
なぜ、火力発電が増えると電気代が増えるかというと、電力会社は海外から石油や天然ガスなどの燃料を購入していることが挙げられます。中東情勢の影響によって石油などの天然資源が高騰してしまうと、それだけ輸入する際に費用がかかり燃料費も高くなってしまいます。そうするとその負担が消費者に電気代として加算されてしまうというのが主な要因です。
震災をきっかけに原子力発電所の存在意義や批判が出ましたが、必ずしも原子力発電所がなくなっても良いことばかりではないということが、このような電気代に及んでいることから分かりますね。
震災後、原子力発電所が停止するなどの影響もあり、今後、電気代がさらに上がってしまうのではないかと、不安に思っている方もいるかもしれませんね。しかし、今後はカナダとアメリカの北米からも天然ガスや石炭の調達ができるようになり、それに関連して電気代も安くなることが想定されます。
今まで、天然ガスなどの資材はオーストラリアやインドネシアから調達していましたが、アメリカの政策変更によって日本への輸入も大幅に増える見込みです。その影響で火力発電所で必要とされる資材の輸入単価を抑えることができ、その分電気代が安くなることが想定されます。
この傾向は数年続くとみられ、電気代の上昇に歯止めをかける効果が期待されています。大まかな見込みとして、震災前の水準程度までは下がるだろうと言われています。
今年の春、4月より始まった「電力自由化」ですが、そもそもこの電力自由化とは何なのかということから説明していきましょう。
まず、戦後の日本の電力は地域ごとに存在する10社の電力会社によって独占的に供給されてきました。しかし2011年の東日本大震災後、福島第一原子力発電所の事故や電力の供給不足などが起こり、その後の閣議決定により安定供給の確保、電気料金の抑制、需要側と供給側の両者にとって選択肢や自由度を拡大させることを目標として設定されました。
電力自由化はこの目標達成のために行われている改革の一つであり、私たち需要側が自由に電力会社を選ぶことができる、電力小売の全面自由化のことです。ヨーロッパをはじめとした国々では既に電力自由化が行われている国も多いようです。
そして、この電力自由化を機に電力販売に参入した企業には既に馴染みのあるガス会社や携帯会社、交通機関などが見られ、異なるサービスと電気を合わせて販売するセット割やポイントサービスとの提携が始められています。現在利用しているガスや携帯会社の電気を利用することで電気代が抑えられることもありそうです。
今後、数年間は電気代が安くなる見通しと言われていますが、だからといって電気の無駄遣いは避けて生活したいですね。実際に震災後3年間は日本全体の電気の消費量が減少傾向にあるそうです。これは国民全体の電気に対する意識改革が表れた結果と言えそうです。個人はもとより、企業全体でも節電という意識が表れていて、今後もこういった良いことは続けていきたいですね。
限りある資源ということを意識して生活することで国全体の電力使用量を減少し、原子力発電や海外の天然ガスや天然資源に依存する割合を少しでも減らすことができれば、安定した暮らしが出来るのではないでしょうか。
ここまで世界各国の電気代と日本の電気代についてご紹介してきました。日本は震災によって、電気やガスなどの資源について改めて考えるきっかけになったと言えそうです。
2016/10/10