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産業用の蓄電池を設置する全体の流れをご紹介

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公共施設や工場など大きい施設に蓄電システムを導入するためには、消費電力が大きくなるため産業用に製造された大型の蓄電池が必要となる場合が多いと思われます。しかし、蓄電池は蓄電容量が大きくなればなるほど高価になるため、産業用の蓄電システムを導入する際に障壁となるのがコスト面ではないでしょうか。

 

そのような問題に対応するために、家庭用と同様に法人用(産業用)の蓄電池購入に対して国による補助金給付制度があります。

 

今回は、補助金給付を視野に入れた産業用蓄電システム設置のための全体の流れを押さえておきたいと思います。

 

そもそも蓄電池とは?

詳しく導入の説明に入る前に、蓄電池について簡単におさらいをしておきましょう。蓄電池は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、NAS電池などの種類に分けられる、いわば充電ができる電池です。

 

鉛蓄電池は、鉛を使った蓄電池であり、値段が安く長年使われているため安定した電気の供給ができる特徴がある反面、硫酸や鉛など扱いにくいものが使われるため安全面での不安が残ります。また、サイズが大きくなり重量もあるので、あまり使われなくなってきています。ニッケル水素電池は、水酸化ニッケルを使った蓄電池です。過充電などに強く耐久性に優れています。
リチウムイオン電池は、科学的な反応を利用した電池です。鉛電池に比べて軽量で、なおかつコンパクトであり、容量もあるということから、近年注目を集めています。パソコンやスマートフォンなどに使われており、今後は車などにも積極的に使われていくでしょう。
NAS電池は、高エネルギー密度が特徴で、軽量で大容量な蓄電池です。寿命も長く、産業用の蓄電池として活用されています。

 

産業用蓄電池とは?

産業用蓄電池は、オフィス、工場、店舗、公共施設等で使用されることから、家庭用蓄電池と比較して蓄電容量の大きいことが特徴です。4つの蓄電池を紹介しましたが、NAS電池が主に使われています。オフィスであれば、リチウムイオン電池も対象です。

 

事業内容によっては大きな電気出力を求められることがよくあり、一つの蓄電池では電気をおぎなえない場合は、複数の蓄電池で構成される蓄電システムが活用されます。パナソニックが力をいれている分野で、蓄電容量が22kWと家庭用の2倍のものが一般的です。

 

産業用蓄電池は大容量であるため寿命も長くなります。充電できる回数として知られているサイクル数も8,000サイクルを超える高性能タイプもあります。蓄電容量は十数kWhから20kWh台のものもあり、最近では最大で60kWhを超える大容量タイプも出ています。

 

産業用途の蓄電池は蓄電容量が大きいため、価格も高額になりやすく、高くて1000万円を越える価格帯になるものもあります。なお、法人購入の産業用蓄電池にも独自に補助金が適用されることもあり、家庭用に比べて補助金の金額が高くなっています。

 

産業用の使用用途ですが、主に、電力の貯蔵施設や工場などのバックアップ用電源として活用されています。24時間稼働している工場では、突然の停電や災害などに備えるためにも、バックアップ電源として大容量の蓄電池が求められています。リチウムイオン電池を使っているところもありますが、最近では、NAS電池が産業用に使われるようになってきています。硫黄が使われているためメンテナンスに手間がかかりますが、価格が安く、大容量であり、耐久性があるということが企業のニーズに適しています。

 

企業が導入するメリット

2011年以降東日本大震災の影響で、節電に対する意識が高まりました。企業は、それぞれの発電所から電気使用の上限を決められており、その上限を超えないように気をつけて設備を稼働させなければいけません。企業からすれば、生産への影響が出る可能性のある状態であり、懸念事項でもあります。

 

こういった背景もあり、工場には大容量の蓄電池が求められるケースが出てきました。昼間のうちに電気を貯めておき、電気の使用量が高まる時間帯に蓄電池から電気を流してうまくバランスを取るのです。大きな工場では難しいかもしれませんが、今後はより容量の大きいバッテリーができ、企業のリスク管理の一つとして導入が進んでいくことが考えられます。

 

この他にも、震災や災害などで、停電があった時のバックアップ電源としても利用されています。特に、稼働を止めることができない設備があれば、蓄電池は必ず必要です。工場でなくても、パソコンの非常用電源として蓄電池が使われていることもあります。大きな企業はサーバーを何台も抱えており、停電などでサーバーが止まってしまうと大惨事になるため、蓄電池の必要性は工場以外でも高まっています。

 

産業用の蓄電システムである大型カスタム蓄電システムとは?

次に、補助金の対象となる大型カスタム蓄電システムについてご紹介します。産業用の蓄電池は、「大型カスタム蓄電システム」と呼ばれる蓄電システムに位置づけられ、そのための補助金申請の手続きが別途定められています。

 

大型カスタム蓄電システムとは、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)によれば以下のように定義づけられています。

 

「単電池の定格容量×セル数が4800Ah・セル以上で、蓄電システム製造前に蓄電システムの使用者(所有者)と蓄電システムを提供する、SIIに認められた機器製造事業者等の間において、仕様に関して書面による合意が存在する蓄電システム」
(引用:環境共創イニシアチブ公式ウェブサイト―大型カスタム蓄電システムの定義)
https://sii.or.jp/lithium_ion26r/ 

また、システム構成としてはリチウムイオン蓄電池、インバータ、コンバータ、パワーコンディショナなどから構成されており、安全性が確保されていることも求められます。

 

資格登録された会社

環境共創イニシアチブに資格登録された会社の設備を買わなければ、補助金の対象にはなりません。今年度は補助金がないため、平成23年度「定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金」に関する資格登録された大型カスタム蓄電システム製造事業者を参考に何社かご紹介させていただきます。

 

・株式会社IHI
・株式会社エヌエフ回路設計ブロック
・株式会社東芝
・株式会社NTTファリシティーズ
・株式会社アイケイエス
・株式会社日立製作所
・株式会社YAMABISHI
・ソニービジネスソリューションズ株式会社

 

他にもまだ数社ありますが、代表的な会社を紹介させていただきました。もし、今後補助金制度が始まる場合は、これらの会社から購入することとなりますので、事前に押さえておいたほうがいいでしょう。

 

産業用蓄電池設置までの全体の流れ(交付申請の流れ)

大型カスタム蓄電システムへの補助金申請は以下の流れになります。

 

1. 産業用蓄電池を扱う事業者へ問い合わせる。
2. 事業者による現地調査。
3. 事業者との打ち合わせ、見積もりの作成。
4. 蓄電システムの購入契約。
5. 「補助金交付申請書」を作成し、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)へ提出。
6. 交付決定。
7. SIIから「交付決定通知書」を受領。
8. 蓄電池設置、運用開始。

 

上記5.から7.の期間は、3~4週間ほどかかる場合があります。また、4.の購入契約後以降は購入費用の支払いが発生します。

上記のように、補助金申請のタイミングは蓄電システム購入契約後であることが求められ、その流れに従わない場合は補助対象外となってしまいます。

さらに、蓄電システムのメーカーが「大型カスタム蓄電システム 機器製造事業者の要件及び同意事項」に同意していることも条件となっています。

 

2015年の補助金交付申請受付期間は2015年3月30日から同年12月28日(郵便私書箱必着)となっていました。また、受付期間でも補助金申請の合計が予算額(130億)に到達すれば受付終了ということでした。

 

産業用蓄電池設置後の全体の流れ(実績報告の流れ)

補助金を実際に受けるためには、蓄電システム設置後に実績報告書の申請を行うことが求められます。蓄電システムの導入完了後からの流れは以下になります。

 

1. 蓄電システム施工完了、システム引き渡し。
2. 購入費用の支払い完了。
3. 「補助事業実績報告書 兼 取得財産等明細表」を作成し、SIIへ提出。
4. SIIから「補助金の額の確定通知書」を受領。
5. 補助金の支払い。

 

上記3.から4.の期間は、3か月ほどかかる場合があります。

2015年の実績報告受付期間は2015年3月30日から2016年1月29日(郵便私書箱必着)となっていました。実績報告がするための条件として、蓄電システムが使用可能状態であることや事業者から引き渡し済みであることが求められていました。

 

まとめ

産業用蓄電池購入の際に補助金を視野に入れる場合でも、基本的には家庭用蓄電池のケースと流れは同様となります。また、注意点についても、補助金申請は購入契約後であることが求められ、この点は留意する必要があります。

 

産業用蓄電システムは特に規模が大きくなるため、補助金を検討する場合は注意深く申請手続きの流れを抑えておく必要があります。今回の記事がそのための一助となれば幸いです。

2017/05/10

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