太陽光などで発電した再生可能エネルギーを売電するためには、国から設備の認可をもらう必要があります。国指定の申し込み用紙を使い、必要な情報も一緒に提出しなければいけないため、とても面倒だと感じる人は多いのではないでしょうか。実際、調べていくとわからないことばかり。しかし、正しい方法で提出をしなければ、国からの申請を得られず発電設備の設置ができなくなります。
また、申請には新たに設備申請を行う場合と既存の設備を変更する場合で様式が異なり、それぞれ記入すべき内容も異なってきます。また、10kW以上と10kW未満でも様式が異なり、それぞれで求められた内容にしたがって申請書を作成します。
とても手間がかかるように思えるこの手続きですが、全体像を把握すれば難しいことはありません。今回は、太陽光発電設備の新たに認定を受ける際の申請書の概要についてお話しします。全体像を把握して、効率よく正確に書類の提出をおこなえるようになりましょう。
固定価格買取制度とは、平成24年度から開始された国による制度です。制度の概要は、電気事業者が再生可能エネルギーにより発電された電気を一定期間の間、決まった金額で購入しなければいけません。再生可能エネルギーは、太陽光発電、水力発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、住宅用太陽光があげられます。日本は、ほとんどのエネルギーを火力発電に頼っており、海外から原料を輸入しています。また最近の震災による電気に対する意識の高まりを受け、エネルギーの自給率をあげるためにも自然エネルギーを使う流れになってきています。このような背景もあり、国が電力会社に対して一定期間の間再生可能エネルギーの買取を制度として始めました。
電力は企業が発電したものだけではなく、一般家庭で発電されたものまで対象は幅広く設定されています。しかし、売電するためには事前に設備の認定を受ける必要があります。その認定を受けるためにも申込書を提出しなければいけません。
申込書を出すにあたり、まずは必要な情報を集めておきましょう。その後、記載要領を参考にして、申込書の作成と必要書類を準備します。そして、申込書を経済産業局へ送ります。書類を送る際には、返信用の封筒を同封するようにしましょう。
申請書は大きく分けて、事前の申請用と設備認定後に提出する書類の2種類があり、再生可能エネルギー発電設備認定申請書と呼ばれています。事前の申請は、太陽光と太陽光以外で別々にありますので、注意が必要です。太陽光でも50kW以上の場合は、別途追加で提出しなければいけない書類があることも留意しておきましょう。
まずは、50kW未満の書類についてご紹介します。
10kW以上の太陽光や、そのほかに風力、水力、地熱発電の設備を申請する場合に必要となるのが、『再生可能エネルギー発電設備認定申請書』です。なお、10kW未満の太陽光発電の場合は『10kW未満の太陽光発電設備認定申請書』を用いて申請することになります。
それぞれの申請書には主に以下の項目が含まれており、それら必要事項をすべて埋める必要があります。
1.設備そのものに関する情報
この項目では、太陽光発電設備(10kW以上)の設備であることを明記し、具体的な発電出力や設備名称、設備所在地、太陽光変換効率、電気供給量の計測方法、そして配線図など、設備の仕様にかかわる重要な情報を盛り込みます。
2.設置者に関する情報
ここでは発電事業者や代表者など、個人に関する情報を記入します。基本的にはフォーマットに沿って必要な情報を記入していくだけなので、手間はほとんどかかりません。まずは、この情報から埋めてしまいましょう。
3.添付資料
上記(1、2)以外の設備の運転にかかわる情報を明記した添付資料を添えます。具体的には、設備の構造図や配線図、設備の運用を担うメンテナンス体制に関する書類などを一式揃える必要があります。設備の配置場所などを書く際には、地図を書く必要があります。そこまでクオリティが求められていませんので、住宅地図程度に書くようにすれば問題ありません。配線図などは、知識がないと書けないため知識のある人にお願いするといいでしょう。
1.設備そのものに関する情報
太陽光発電のみであるのか、または太陽光発電と自家発電を併用するのかを区別して明記します。そのほかの情報は10kW以上の場合の申請書と基本的には同様です。設置者に関する情報や、設備に関する情報などが求められます。
2.設置者に関する情報
10kW以上の場合の申請書と同様に、発電事業者や代表者など、人に関する情報を記入します。
3.添付資料
構造図や配線図、メンテナンス体制に関する資料を揃えるのは10kW以上の場合と同様ですが、10kW未満の場合は発電設備内容とJIS等に適合したことを証明する「太陽光発電設備購入契約書」も必要となります。
50kW以上の太陽光発電設備の申請は、土地の登記簿謄本が必要となります。権利者と発電事業者が違う際は、売買契約書の写し、賃貸借契約書、権利者の証明書などのいずれかが必要となります。その時の、契約状況により提出する書類は異なります。
太陽光以外の、水力発電、風力発電などは別の書類が用意されています。
1.設備に関する情報
太陽光と同じように設備に関する情報を入力します。設備の住所、最大出力、売電開始日など、フォーマットにそって記入していきましょう。それと一緒に振込依頼書が添付されていますので、振込先情報を記入します。
2.位置図
添付情報として位置図を提出する必要があります。住宅地図程度で問題ないため、設備の設置場所がわかる地図を書きましょう。
3.聞き配置図
電力柱、受電柱、設備などの設置場所を記入します。こちらも簡単な地図として情報をわかりやすく記入しましょう。
4.単線結線図
設備の詳細を記入していきます。こちらはフォーマットに沿って必要な情報を記入していくのみですが、調べないとわからないことも多々ありますので少し手間がかかります。
5.発電設備に関する資料
発電設備の概要を記入します。型式、出力、インバータの仕様などです。
以上が、太陽光発電以外の設備に必要な申請書です。
ちなみに、認定を得るためには多くの条件があり、書類を提出する前に条件に適しているかどうかを確認しておくといいでしょう。太陽光発電や水力発電などすべてに関していえることは、売電をするにあたり導入設備の維持やメンテナンス体制が整えられていることが大切です。また、売電にあたり電気量を適切に計測できるシステムや構造が整っていることや、設備の設置にかかった費用や年間の維持費を毎年提出すること、発電設備の具体的情報が出せることなども条件となります。
これらの最低条件を満たしていないと、申請しても認定を得ることは難しいため、事前に条件の確認をしておくことが大切です。
認定を受けた発電設備にかかった費用及び、認定発電設備の運用にかかった費用の報告の義務があります。平成28年度から報告に使うシステムが新しくなったため、注意が必要です。
今回は、太陽光発電設備の認定を受ける際に必要な申請書について、その概略をお伝えしました。10kW以上と10kW未満の場合で申請内容が若干異なるものの、設備に関する仕様や稼動に関することなど、記入すべき情報は共通している部分も多いようです。
なお、申請書の具体的な様式は経済産業省資源エネルギー庁の公式ウェブサイト(なっとく!再生可能エネルギー)からダウンロードすることができます。また、申請書の提出先は、発電設備の所在地である都道府県を管轄する経済産業局になります。具体的には以下の経済局になります。
北海道経済産業局、東北経済産業局、関東経済産業局、中部経済産業局、近畿経済産業局、中国経済産業局、四国経済産業局、九州経済産業局、内閣府沖縄総合事務局
今回は新規に認定を受ける場合の申請書についてご紹介しましたが、設備の仕様(太陽電池メーカーや発電出力など)を変更する場合は、別途申請書(『再生可能エネルギー発電設備変更認定申請書』や『10kW未満の太陽光発電設備変更認定申請書』)を用意して申請する必要があります。
申請書には数値も含めて具体的に記入すべきことも多く、そのため、スムーズな設備認定の手続きを行うためには、今回の記事も参考にしながら、前もって申請内容を把握しておくことをおすすめします。期限に1日でも遅れたら申請が通らなくなります。せっかく売電をして節約をしようと考えていてもプランが台無しになってしまいます。面倒だと感じるかと思いますが、事前にしっかりと進めておきましょう。
2017/04/04