夢から現実へ!宇宙エレベーターとは?
小説や映画の中だけだと思っていたことが、次々と実現している現代。
実は、地球と宇宙を繋ぐ、「宇宙エレベーター」の実現に向けた研究プロジェクトがすでに始まっています。
宇宙開発に積極的なアメリカを始め、日本もこの夢にようなプロジェクトに参加していますが、「宇宙エレベーター」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
宇宙エレベーターとは?
宇宙エレベーターとは、軌道エレベーターと呼ばれることもあります。
今のところ、人間が宇宙へ行くための手段としては、ロケットによる飛行手段しか存在しません。
ところが、地球と宇宙を繋ぐこの宇宙エレベーターであるなら、より安全に、そしてより環境に優しく宇宙へ旅立つことができるようになります。
とても現実に実現するとは思えない、と思われるでしょうか?
しかし、宇宙エレベーターのアイデアそのものは、真新しいものだという訳では決してありません。
むしろ、1961年に人類が初めて宇宙に旅立ってからというもの、科学者や小説家たちがこぞって、もっと簡単に宇宙へ飛び立つことが可能なのではないか、と考えるようになりました。
宇宙エレベーターの気になるその仕組みとは?
宇宙エレベーターは、地上を基盤に作られるものではありません。
バベルの塔のように、天まで届く塔を地上から建設するのではなく、宇宙ステーションからエレベーターケーブルを地上に向けて垂らすという発想に基づいて作られます。
そのため、宇宙エレベーターの建設には、まずロケットで宇宙まで行き、そこで宇宙ステーションを建設するところから始まります。
宇宙ステーションが一定の場所に止まるようにする工夫
宇宙ステーションが建設されるのであれば、宇宙に漂う宇宙ステーションをどのように止まった状態にすることができるか、という問題が生じます。
宇宙には、地球の自転と同じ速度で回っているため、静止しているように見える静止衛星と呼ばれる人口衛生があります。
この静止衛星が打ち上げられた位置が、宇宙ステーションにとっては非常に大切なポイントになります。
実は、地上の赤道上から3万6000kmの高さに打ち上げられたものは、地球の自転と同じ速度で回るという特性があります。
そのため、宇宙ステーションを赤道上から3万6000kmの位置に建設するなら、エレベーターのケーブルを宇宙ステーションからまっすぐに地球へ伸ばすことができるのです。
ただし、ケーブルを地上に垂らしただけでは、バランスを保つことができません。
バランスを失えばやがて地球に引っ張られて、宇宙ステーションが地上に落下するという大事故に繋がるでしょう。
ですから、地球側だけではなく、宇宙ステーションから地球とは反対側の方向に向けてもケーブルを伸ばす必要があるのです。
どうして宇宙エレベーターの建設が現実可能なのか?
3万6000km以上も地球から離れた場所から地上に向けてケーブルを垂らすなんて、想像もつかないと言われる方もおられるでしょう。
確かに、そんなに遠い場所からケーブルを垂らすことは、ケーブルがそれ自体の重さに耐えられずに壊れる結果を招きます。
ですから、鉄よりもかなり固い強度を持った素材を見つけることが、宇宙エレベーター建設の課題となりました。
ところが、20世紀末にカーボンナノチューブ発見され、次いでコロッサルカーボンチューブと呼ばれる物質が発見されました。
それらのケーブル材料として使用できる可能性が高い材料の発見により、宇宙エレベーターは実現可能なプロジェクトであると考えられるようになりました。
全米宇宙協会では、2031年開通を目標に研究プロジェクトを進めており、他にもLiftport社がNASAのサポートの下、宇宙エレベーターの研究開発を行っています。
もしも、この宇宙エレベーターが実現するならば、とくに過酷な訓練などを受けなくても、誰でも宇宙旅行を体験することができるようになるのではないでしょうか。