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家庭用と産業用の蓄電池、その違いとは?

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蓄電池といっても、オフィスや工場で使われるものから、家庭の太陽光パネルで発電した電気を蓄電するものまで幅広い種類があります。大きくわければ、「家庭用」と「産業用」となりますが、その違いをご存知ですか?選び方を間違えると蓄電池の故障や電気の無駄使いに繋がることもあります。 逆に、家庭用と産業用の蓄電池の違いをしっかりと把握することで、蓄電池を使いこなし無駄のない生活を送ることができます。

 

そこで今回の記事では、家庭用と産業用の蓄電池の特徴から、その違いを明らかにしてみたいと思います。

 

そもそも電池とは?

家庭用と産業用の違いを知る前に、蓄電池の種類について把握しておくことが大切です。蓄電池とは、一言で言えば電気をためておくことができる電池です。例えば、スマートフォンやパソコンを充電したら1〜2日使うことができます。これを可能にしているのが、蓄電池です。そして、その蓄電池にはいくつか種類と特徴がありますので、ご紹介します。

 

鉛蓄電池

蓄電池の中でも歴史があり、現在まで幅広い分野で使われています。主な使用用途は、自動車のバッテリーやフォークリフトなどの主電源です。昔からある蓄電池で使用実績と信頼性も十分。安価なところも幅広く使われている理由の一つです。デメリットとしては、エネルギー密度が小さいため充電容量をあげるためには、重量をあげる必要があります。そのため、携帯電話やパソコンなどの電源のようにコンパクトにすることはできません。また、電解液に硫酸を使用しているため、壊れた時には硫酸が流れ出る恐れがあります。

 

ニッケル水素電池

ニッケル水素電池とは、ニカド電池から置き換わった蓄電池として知られています。ニカド電池は、その環境への悪影響から問題視され、徐々にニッケル水素電池に置き換わった時代背景があります。

 

鉛蓄電池とは異なる点は、高出力、高容量、長寿命を目指して開発された電池ということです。鉛電池はエネルギー密度が小さいため、小型化するのがネックでしたが、ニッケル水素電池は鉛電池のマイナス面を取り払うことに成功しました。さらに、電気の放電が安定しているため、発火などの危険性が極めて少ない電池です。

 

デメリットとしては、充電した分をすべて使い切ってから充電しなければいけないことです。電気があまっていると、容量が減ってしまい電池の寿命が著しく少なくなってしまいます。この現象をメモリー効果というのですが、他の蓄電池にはメモリー効果はありません。ニッケル水素電池を使う時にだけ、気をつけるようにしましょう。また、充電をしても使わなければ自然放電の影響で電気がなくなってしまいます。充電してから使うまで期間が開く場合は、電池の残量が減っているでしょう。

 

リチウムイオン電池

今や多くの小型電機機器に使われているのが、このリチウムイオン電池です。スマートフォン、パソコン、小型ゲーム機などその利用用途は広がっています。その理由としてあげられるのが、エネルギー密度が高い大容量の小型電池ということです。ニッケル水素電池では不可能だった、継ぎ足しの充電が可能になっています。たまに、ニッケル水素電池とリチウムイオン電池を混同し、パソコンや携帯も電池を使いきってから充電しなければいけないと思っている方がいますが、実は関係ありません。

 

デメリットも、もちろんあります。携帯の電池が熱を持って爆発したという事件がよく起きています。これは、蓄電池の中でもまだ不安定であることがいえます。また、容量が大きいため高価で取引されています。携帯の電池の持ちが悪くなったから、電池だけを変える場合かなりの費用がかかったことがあるのではないでしょうか。このことからわかるように、価格はまだまだ高いと言えます。

 

しかし、小型で大容量、継ぎ足し充電が可能というメリットから多くの家庭からオフィスまでリチウムイオンの蓄電池を使っていることが多く、補助金も出されています。近年では、電気自動車などにも応用されるようになってきています。

 

NAS電池

「NAS電池?なにそれ?」と思った方も多いのではないでしょうか。NAS電池とは、リチウムイオンと同程度のエネルギー密度を持ち、長寿命を実現した電池です。オフィスや工場などのバックアップ用電源として活用されています。価格は、鉛蓄電池と同程度であり、蓄電池の半分以下の値段で購入できます。また、寿命も他の電池に比べ圧倒的に長く10年以上安定して使うことができます。

 

しかし、硫黄を用いるため日々のメンテナンスが必要となります。携帯電話やパソコンなどで使われないのは、その危険性もあるためです。大容量という特性を活かし、今後も幅広い場所で使われていくでしょう。

 

家庭用蓄電池の特徴

家庭用蓄電池は、各ご家庭に設置することを前提にしているため、コンパクトに設計されているものが多く見られます。また、ご家庭の太陽光発電システムと連携できるものが多く、停電時にも家全体の電気をバックアップできる容量のものが普及し始めています。太陽光発電システム導入のスマートハウスと呼ばれるタイプの住宅では、標準的に蓄電池が装備されていることもあります。

 

気になる蓄電池の寿命(蓄電池の耐用年数)ですが、蓄電池の性能や使用頻度(充電、放電の回数)によって異なるものの、たとえばリチウムイオン電池の場合は長ければおおよそ10年ほど(※)は持つようです。

 

なお、蓄電池の寿命は、メーカーカタログ等ではサイクル数(蓄電、放電を1サイクル)として表示されることが多く、サイクル数が大きいほど繰り返して使用することが出来ます。リチウムイオン電池のサイクル数は、メーカーによって異なりますがおおよそ3,500回(※)のようです。もちろん、蓄電池の性能によっては3,500回以上のものもあります。

(※ 参考:経済産業省蓄電池戦略プロジェクトチーム『蓄電池戦略』平成24年7月)

 

サイクル数によって蓄電池の寿命が定められるとすれば、一回あたりの蓄電で多く電気を貯められる大容量のタイプの方が、必然的に寿命も長くなりやすいと言えるでしょう。

 

蓄電容量は1kWh台のものから大きければ15kWhまで、充電時間や放電時間は数時間から12時間まで様々で、メーカーや価格によって異なってきます。

価格帯は数十万円台から200万円台まで幅広く設定されており、国から出る補助金を適用することで販売価格よりも安く手に入れることができます。

 

産業用蓄電池の特徴

産業用蓄電池は、オフィス、工場、店舗、公共施設等で使用されることから、家庭用蓄電池と比較して蓄電容量の大きいことが特徴です。

事業内容によっては大きな電気出力を求められることがあり、一つの蓄電池では電気を賄えない場合は、複数台の蓄電池で構成される蓄電システムが活用されます。

 

産業用蓄電池は大容量であることから寿命もその分長くなり、サイクル数も8,000サイクルを超える高性能タイプもあります。蓄電容量は十数kWhから20kWh台のものもあり、最近では最大で60kWhを超える大容量タイプも出てきています。

産業用途の蓄電池は蓄電容量が大きいため、やはり価格も高額になりやすく、数百万円から1000万円を越える価格帯になるものもあります。なお、法人購入の産業用蓄電池にも補助金が適用されることもあり、家庭用蓄電池の補助金よりも上限が高く設定されています。

 

主に、電力の貯蔵施設や工場などのバックアップ用電源として活用されています。工場によっては、24時間稼働をしており突然の停電や災害などに備えるためにも、大容量の蓄電池が求められています。最近では、NAS電池が産業用に使われるようになってきています。硫黄が使われておりメンテナンスが大変ではありますが、価格が安くなおかつ大容量というメリットが企業のニーズに適しているようです。

 

まとめ

今回は家庭用と産業用の蓄電池の違いをご紹介しました。蓄電池としての性質そのものは家庭用と産業用で異なることはありませんが、蓄電容量に大きな違いがあります。そして、それに伴って価格面や補助金も違いが現れます。また、家庭用の場合は省スペースが求められることから、コンパクトなタイプも多く見られます。

 

蓄電池の寿命はサイクル数に応じて異なり、メーカーカタログ等に記載されているサイクル数が多いものほど、長く使用できます。そのため、大容量であるほど、1サイクル(蓄電→放電)の時間が長く、したがって蓄電池の寿命も長いと言えます。

 

もちろん、家庭用と産業用それぞれの種類の中においても、さらに性能が異なる蓄電池が多数あるため、蓄電システムをご検討の際は価格や蓄電容量などを比較検討してみることをオススメします。

 

鉛電池などは、安定した供給が可能ですが、重量が重く容量もあまり大きくありません。リチウムイオン電池も、バッテリーの持ちと小型化というところにメリットがありますが、鉛電池よりも4倍以上の価格というデメリットもあります。容量が必要ないにもかかわらず、大容量の電池を買ったり、価格の高いものを買ったり、自分の使い方にあっていない電池を買うと損をすることとなります。必ず、自分の必要な条件に適した蓄電池を購入するようにしましょう。

2017/04/01

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